トップ国際中東ガザ平和評議会、仮設キャンプ設置へ ハマスは非武装化を拒否

ガザ平和評議会、仮設キャンプ設置へ ハマスは非武装化を拒否

 イスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦合意から約9カ月、パレスチナ自治区ガザでは現在もハマスが非武装化を拒否し続けている。これに対し、ガザ地区の暫定統治を監督するための国際機関「平和評議会」は、代替案を打ち出した。(エルサレム森田貴裕)

6日、ガザ市の避難民キャンプでタンクに水を入れる少女(AFP時事)
6日、ガザ市の避難民キャンプでタンクに水を入れる少女(AFP時事)

■復興具体策で会合

 トランプ米大統領が主導する平和評議会は7月3日、地中海の島国キプロスで、ハマスとイスラエルの紛争後のガザ地区復興に向けた一連の会合を開いた。会合には、評議会のニコライ・ムラデノフ上級代表、執行委員会委員のブレア元英首相、パレスチナ人テクノクラート(技術官僚)によるガザ行政国家委員会(NCAG)のメンバーが出席した。

 会合では、実施計画、治安体制、新たな地域へ移住予定のガザ住民の数、ガザ地区の将来の統治体制といった具体的な問題に焦点が当てられた。また、ハマスが武装解除しない場合でも、計画を進めることで合意した。

 ムラデノフ氏は3月、停戦合意の第2段階の一環として、ガザ地区の非武装化に向けた計画を提示したが、ハマス側がこれを拒否した。評議会は代替案として、人道エリアに新たな仮設キャンプを設置するという。この計画では、用地造成やインフラ整備を最長でも6カ月以内に完了させ、最初の住民がハマスの支配地域外に移住できるようになる見込みだ。移住先は南部ラファ近郊のテルスルタン地区が指定されており、初期段階で数万人を受け入れ、その後、仮設キャンプを拡大させて数十万人を収容する。

 また、ハマスが武装解除されるまでは、コンクリートなど恒久的な資材を用いた長期的な復興は行わず、住宅や学校、 医療施設、職場などの建物は仮設にするという。仮設キャンプ内の治安維持は、エジプトで訓練を受けたパレスチナ警察部隊と、今後数カ月以内に展開予定の国際安定化部隊(ISF)が担当する。一方、イスラエル軍は引き続き外周軍事境界域を維持し、ハマスがいない居住地域からのみ撤退するという。

 2月に部隊を派遣すると表明していたモロッコ軍の将校らが6月18日、ガザ地区から30キロ離れたキルヤットガットのISF本部に到着した。コソボやアルバニア、カザフスタンの将校もイスラエルに到着した。国連安全保障理事会決議では、ISFはガザ地区の非武装化やパレスチナ人警察の訓練を任されている。

 モロッコのブリタ外相によれば、同国の上級将校は、ISFの統合軍事司令部に直接配置され、警察部隊は共同展開に向けて準備を進め、ガザ地区での医療提供に向けて野戦病院も設営されているという。モロッコは2020年12月、トランプ政権の仲介で、イスラエルとの外交関係を正常化(アブラハム合意)した。

 トランプ氏のガザ和平案によって25年10月10日、イスラエルとハマスの停戦が発効した。イスラエル軍は、ガザ地区の部隊を定められた撤収ライン(イエローライン)まで移動させた。ガザ地区の約半分を掌握していたイスラエル軍は、徐々にその支配地域を広げ、イエローラインを示す標識をハマス支配地域の奥へと動かしている。現在、ガザ地区の約70%を支配下に置く。

■新たな戦争準備か

 イスラエル紙ハヨムは今年6月30日、平和評議会による人道支援仮設シェルターの試験的プログラムがテルスルタン地区で数週間以内に開始され、ハマスと関係のない住民が収容されると報じていた。ISFもガザ地区に入る予定で、ラファ近郊にあるイスラエル軍のアミタイ基地に建設された施設に駐屯するという。

 イスラエル軍情報局(アマン)は、ハマス軍事部門が新たな戦争の準備を進めていると警告する。ハマスは地下インフラを再建し、爆弾や対戦車ミサイルを製造しているほか、ドローンや通信機器の密輸も試みている。また、若い戦闘員を募集し、精鋭部隊の訓練も再開したという。米国務省のキャサリン・プレスコット上級政策顧問は、中東ニュースサイト「メディアライン」で、「ハマスは弱体化しているが、依然として第2段階を無期限に拒否できるだけの軍事力を持っている。これが現状だ」と指摘した。

 ガザ地区の人口約220万人のうち約9割ががれきの中でテント生活を強いられている。ガザ地区に平和が訪れるまでの道のりは依然として遠い。

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