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日本は海上自衛隊を派遣し海上交通路を守れ

戦争学研究家 上岡龍次

海上自衛隊の護衛艦と米海軍の空母「エーブラハム・リンカーン」による共同訓練の様子=12日、日本海(海自提供)

末期的なイスラム政権

 アメリカ軍とイスラエル軍によるイランのイスラム政権への攻撃が開始されて1ヶ月が経過した。初期段階でイランの指導層の大半が排除された。初期攻撃で敵国の指導層の大半が排除されることは戦争史を見ても異例な結果だが短期戦にはならなかった。

 イランのイスラム政権はイスラム教シーア派の宗教組織による革命で誕生した。このため宗教組織はイラン正規軍を信用せず宗教組織の私兵である革命防衛隊を創設。さらに革命防衛隊傘下の民兵組織や治安維持部隊を創設した。

 宗教組織の指導層が排除されてもイラン国民を弾圧してきた革命防衛隊・民兵組織・治安部隊は憎まれている。このためイスラム政権に組み込まれた者と家族は徹底抗戦を行うことになった。イスラム政権は12歳でも治安部隊に入隊できるようにするなど末期的な状態になっている。

ホルムズ海峡防衛で泥縄の日本

 イランのイスラム政権はアメリカ軍とイスラエル軍の攻撃で指導層の大半が排除された。イスラム政権は人材を交代して政権維持をしている。イランは制空権を奪われイスラエル軍はドローンを用いてイラン国民と連携し治安部隊を攻撃していることが示唆されている。これが事実であれば、イスラエル軍はイラン国民を味方にしており、諜報機関か特殊部隊が潜入していることを示す。

 それでもイスラム政権は徹底抗戦を選び、ホルムズ海峡封鎖だけでなくイエメンのフーシ派との連携も示唆されている。このために日本が貿易で使う海上交通路はホルムズ海峡とマンデブ海峡の2つが危機的な状態になった。

■ホルムズ海峡で他国船も護衛を、自衛隊派遣へ特措法提案-自民・長島氏
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-26/TCGD6IT9NJLS00

 高市政権はイランがホルムズ海峡を封鎖しイエメンのフーシ派がマンデブ海峡を封鎖する可能性があるにも関わらず、海上自衛隊を投入して海上交通路を守ろうとしない。さらにペルシャ湾内には日本関係の船舶がいるにも関わらず、海上自衛隊を投入して救出活動もしていない。全て憲法9条・法規制を理由に実行されていない。

 そんな状況で高市政権は“日本関係船舶だけでなく他国の船舶も護衛することが日本の国益に資するとの認識”から特別措置法の制定に動き始めた。特別措置法の制定は良いが泥縄。この泥縄は日本の歴代政権が海上交通路の防衛を軽視していた証であり、外国にいる国民を助ける意思がないことを示す。

 過去を見れば北朝鮮による拉致被害者問題・湾岸戦争・イラク戦争があったのに法整備を未だにしていなかった。北朝鮮に拉致された国民すら憲法9条・法規制を理由に救出しない政治家の集まりだから与党も野党も国民のことを考えていない証だ。真に国民のことを考えているなら北朝鮮に拉致された拉致被害者を憲法改正・法改正して自衛隊に救出命令を出していた。

 戦後日本の歴代政権は国際問題の多くをアメリカ頼みにしていたから外国の脅威には対応できない。これまで国際問題は何度もあったのだから憲法9条・法規制を変えることは可能だった。

 憲法9条・法規制の修正だけはなく別の選択肢もある。それは現憲法から戦前の大日本帝国憲法に戻すことだ。これは無理難題ではない。戦争は1951年のサンフランシスコ平和条約締結で終わったからGHQによる占領政策も終わった。このため現憲法から戦前の大日本帝国憲法に戻すことは日本の自由。大日本帝国憲法に戻して現代版に改正もできる。これなら自衛隊は軍隊に戻り、外国と集団的自衛権も行使できる。

 現在の憲法はGHQにより作成され当時の日本政府が天皇陛下の裁可を受けて発布された。ならば高市政権が“戦争は1951年のサンフランシスコ平和条約締結で終わった”ことを国民に伝え、現憲法と同じように天皇陛下の裁可を受ければ大日本帝国憲法は発布される。

 GHQにより大日本帝国憲法・内務省・旧宮家・日本軍などが奪われた。だが高市政権が戦前の状態に戻せば今の憲法改正・国際情勢・皇統問題は全て解決する。ならば今の特別措置法の制定をするよりも戦前の状態に戻せば日本軍として国際貢献も可能になる。この方がコストパフォーマンスとして最適解になる。

末期的なイランとフーシ派の参戦

 イランはイスラム教シーア派が革命を起こして政権を奪った。このため法律よりも宗教の法律が上位の世界。さらに女性には人権がないに等しい国だ。イスラム教シーア派は私兵である革命防衛隊を用いてイラン国民を弾圧しているからイラン国民から憎まれている。

■イラン、12歳少年も治安部隊に動員 入隊年齢下限引き下げ

 イランのイスラム政権は12歳でも治安部隊に入隊できるようにした。注意すべきは正規の軍隊ではなく宗教組織の治安部隊に入隊させることだ。通常の国家であれば正規の軍隊に入隊させるがイランは宗教組織を維持する目的で12歳でも治安部隊に入隊させる。これは宗教組織の末期的な状態であることを示す。このためイランのイスラム政権は何をするか判らない思考だと見るべきだ。

 イランのイスラム政権は追い詰められて機雷をホルムズ海峡に敷設して世界経済を道連れにする可能性がある。仮にイランのイスラム政権が核弾頭を保有していればイスラエルかアメリカ軍基地に撃ち込むこともあり得る。それだけ危険な状態だ。

■親イランのフーシ派、対米イスラエル「攻撃続行」を宣言 米海兵隊2500人が中東到着
https://www.sankei.com/article/20260329-BKE7EJWVCFJGHFO27XFHPXL3ZY/

 イエメンのシーア派はイランの革命防衛隊と連携していることは以前から知られている。イランが末期的なのにイエメンのフーシ派はアメリカ・イスラエルと戦うために参戦の意思を示した。これはイエメンのフーシ派が紅海のマンデブ海峡を封鎖する可能性が高いことを示す。こうなると海上交通路のホルムズ海峡・マンデブ海峡の2つが封鎖されたら世界経済はどうなる? 日本経済はどうなる?

紅海ルートも危険

 “資源開発大手INPEXは中央アジアのカザフスタンとアゼルバイジャンで生産する原油を日本企業に優先的に販売する方針を明らかにした”。これは事実だが脅威対応型の状況戦術だ。

■中央アジア産原油を日本企業に優先販売、政府出資のINPEX方針…「中東依存9割」から調達先多角化へ
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260328-GYT1T00016/

 何故ならカザフスタン・アゼルバイジャンの石油をどのルートで日本まで運ぶのか? イエメンのフーシ派がマンデブ海峡を封鎖すれば紅海ルートは使えない。そうなると地中海からアフリカの喜望峰を通るルートだけになる。これは日本に石油を運ぶことはできるが輸送コストは高い。ならば日本で石油は手に入るが価格は高いままを維持するだけ。この意味でカザフスタン・アゼルバイジャンの石油輸入は状況戦術の典型例。

 根本的な解決が必要だ。日本は有志連合に参加してホルムズ海峡・マンデブ海峡を防衛する軍事作戦に参加することだ。これにより“日本関係船舶だけでなく他国の船舶も護衛する”ことで国際貢献する日本が求められる。

大日本帝国憲法と日本軍を戻せ

 戦争は1951年のサンフランシスコ平和条約締結で終わったのだから、大日本帝国憲法・内務省・旧宮家・日本軍などを高市政権が戻せば良い。GHQが当時の日本政府を使い天皇陛下の裁可を受けて発布された。ならば今の高市政権は同じことをすれば良いだけだ。

 行政の下で立法が法案を作ると法案を天皇陛下の下へ持っていく。法案は天皇陛下の裁可を受けることで正式な法律に変わる。これにより司法が法律を使う。これが日本型のシステムだから戦前から戦後も変わらない。

 今の高市政権も同じことをするだけのこと。高市政権は国民に、戦争は1951年のサンフランシスコ平和条約締結で終わったことを伝え、正式に大日本帝国憲法・内務省・旧宮家・日本軍を戻せば良い。さらに日米同盟の強化とアメリカのトランプ大統領主導の有志連合に参加することを伝えれば世界からの反発はない。

 ホルムズ海峡とマンデブ海峡は世界経済の要。ヨーロッパ各国もアメリカの戦争に参加したくはない。そんな時に日本主導でホルムズ海峡とマンデブ海峡を防衛するなら国際貢献にもなるしアメリカの戦争とは別になる。このため有志連合に参加しやすい環境を日本が作るべきだ。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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