
米国とイスラエルのイラン攻撃開始から3週間が経過した。攻撃の応酬が続く中、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖した。米国は海兵隊数千人を中東へ追加派遣するなど、イランに対する軍事的圧力を強めている。(エルサレム森田貴裕)
イラン攻撃が続く中、イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師(56)が3月12日、初めて声明を出し、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖継続を表明した。海峡封鎖で、多くの船舶が立ち往生している。
これに対し米国は、長崎県の米海軍佐世保基地に配備されている強襲揚陸艦「トリポリ」と護衛の駆逐艦2隻を中東に派遣した。トリポリには沖縄県に駐留する米海兵隊の即応部隊「第31海兵遠征部隊」約2500人が乗っており、約2週間で中東に到着する。海兵遠征部隊は、水陸両用作戦のように艦船から陸上への移動を必要とする急襲や特殊作戦などの任務に対応し、地上作戦も実施できるという。
米国はさらに、強襲揚陸艦「ボクサー」など艦艇3隻を追加派遣。「第11海兵遠征部隊」約2500人が搭乗し、18日に米西部カリフォルニア州のサンディエゴ海軍基地を出港した。中東には約1カ月で到着するという。米メディアは、追加の派遣部隊について、イランの原油輸出主要拠点であるペルシャ湾のカーグ島の制圧などの任務に就く可能性を伝えている。
イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」(IRGC)は2月28日に米イスラエルによる攻撃を受け最高司令官らを失ったにもかかわらず、弾道ミサイルやドローンによる攻撃を継続、報復の姿勢を崩していない。イスラエル紙イディオト・アハロノトの軍事ジャーナリスト、ロン・ベンイシャイ氏によると、IRGCは過去の衝突から教訓を学び、今回の戦争に向けて万全の準備を整えてきたという。
攻撃を受ける前から、指導部が壊滅して指揮系統が破壊されることを想定。指揮系統の各ポストには3階級下まで後継者が指名されており、司令官が殺害された場合でも即座に交代できるように組織されていた。さらに、重要な軍事インフラを地下に移設した。これには、核研究所、弾道ミサイルや発射装置、ドローン、さらには高速攻撃艇までが含まれ、岩盤の下数十メートルに埋められている。また、イラン国土を31の弾道ミサイル司令部に分割し、各地域の指揮官にはそれぞれに独立した発射権限が与えられた。さらに、米国による攻撃に備えてホルムズ海峡を封鎖する計画も事前に立てられていたという。
攻撃は、濃縮ウランから科学者や技術者を含む主要な研究機関に至るまで、イランの兵器開発計画のあらゆる要素を標的とすることを目指している。これまで大きな戦果を挙げてきたが、イランがこうしたインフラの多くを地下に移設したことから、さらなる作戦が必要となる可能性が高い。イランの弾道ミサイルや発射装置、ドローンの生産インフラを標的に攻撃を続けているイスラエル軍は、あと数週間は作戦を継続するとしている。
イランは依然として、濃縮度60%の高濃縮ウラン約408㌔を保有している。遠心分離機でこれをさらに濃縮すれば、数週間以内に核爆弾約10個を製造できる。ベンイシャイ氏によれば、この高濃縮ウランは3カ所の地下施設に保管または埋設されているとされ、撤去または無力化の方法について西側諸国の当局者らの間で議論が続けられているという。
一つの選択肢は、特殊部隊による地上作戦だ。これには1000人以上の兵力で、閉塞(へいそく)したトンネルを撤去するための重機による数日間の作業、そして継続的な警備と兵站(へいたん)が必要で、極めて複雑で危険な任務となる。もう一つの選択肢は、空爆によってトンネルを崩壊させて施設を封鎖することだ。ただし、これには貯蔵容器の損傷や、人口密集地域への放射能汚染のリスクが伴う。最も望ましい選択肢は、戦後合意に基づき、イランが自国領土から高濃縮ウランを自主的に撤去することだ。
いずれにせよ、イランが高濃縮ウランを保持している限り、この戦争の終結は見えてこない。





