トップ国際中東イラン当局、後継者選び急ぐ 米・イスラエル 現体制転換狙う

イラン当局、後継者選び急ぐ 米・イスラエル 現体制転換狙う

 【ウィーン小川敏】シーア派イスラム共和国イランでは、最高指導者ハメネイ師が2月28日、米・イスラエル軍の空爆で殺害されたことを受け、新たな指導者選びを急いでいる。イラン当局者は1日、国営テレビで「ハメネイ師の死去を受け、新たな最高指導者の選出を迅速に決定する。法律に基づくとともに、戦時下の状況を鑑み、可能な限り早期に」と述べた。

 12人から成る護憲評議会は、イランにおける権力の監視役を担うが、後継者確定までは、暫定評議会が事務を統括する。暫定評議会のメンバーは、マスウード・ペゼシュキヤーン大統領、強硬派のゴラムホセイン・モフセニ・エジェイ司法長官、そして護憲評議会の法学者メンバーのアヤトラ・アリレザ・アラフィ氏の3人。

 イランのハメネイ師は精神的指導者にとどまらず、内政、外交を含むほぼ全分野で最終決定権を有する立場だった。ハメネイ師が死亡し、最高指導者が空席のままでは、イラン全般の指導機関が停滞してしまう。アラグチ外相は1日、アルジャジーラ(中東の有力メディア)で、「一両日中に選出される」と述べ、イランの権力における危機対応について「後継者は、88人で構成される専門家会議で決定され、その専門家会議は8年ごとに国民が高位公職者の中から選出する」と説明した。バチカンのコンクラーベに似た閉鎖的な選出プロセスだ。

 一方、ハメネイ師は昨年6月、イスラエルとの12日間戦争中に、潜伏生活を送りながら自身の後継候補を指名したと言われている。候補にはハメネイ師の次男モジタバ氏と、初代最高指導者ホメイニー師の孫ハッサン・ホメイニ氏が含まれていた。その他の有力聖職者には、元司法長官で影響力の大きいサデグ・ラリジャニ氏、専門家会議メンバーのモフセン・アラキ氏、またモフセニ・エジェイ司法長官、神学校ネットワークを率いるアリレザ・アラフィ師(暫定評議会メンバーでもある)がいる。

 なおイスラエル側は1日、多数のイラン高官・指導者を殺害したと発表した。イスラエル側は次期後継プロセスを混乱させる意向と見られる。候補殺害により、選出プロセスがさらに遅れ、イラン指導部が混乱に陥る可能性がある。

 イラン指導部としては迅速に次期最高指導者を選出し、その下で国民の結束を強化、現政権の存続を図る狙いだろう。一方、米・イスラエル両国は、イラン攻撃で現支配体制を根本から破壊し、体制を転換させる意向だろう。

 トランプ大統領はイラン国民に政府転覆のため、行動を起こすべきだとハッパをかけている。しかし、イランの反体制派は分裂しており、統一された指導者が不在だ。イラン問題専門家は「国家指導部内部からの蜂起なくして政権交代はあり得ない」と解説しているが、エリート層にも革命防衛隊にも現在、亀裂は見られないという。専門家会議による選出は、数日以内との見方も出ているが、継続する攻撃と混乱で極めて不透明だ。

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