トップ国際中東イラン各地でデモ激化 「敵国の工作」と最高指導者非難

イラン各地でデモ激化 「敵国の工作」と最高指導者非難

9日、イラン北部コムでの会合で演説する最高指導者ハメネイ師(UPI)
9日、イラン北部コムでの会合で演説する最高指導者ハメネイ師(UPI)

 核開発を巡る経済制裁を受けているイランの各地で、深刻な経済難を背景に抗議デモが相次ぎ、治安当局との衝突が激化している。イランは、イスラエルと米国の陰謀だと主張する。トランプ米大統領は、イランに対しデモ隊への弾圧を控えるよう警告、軍事介入も辞さない姿勢だ。(エルサレム森田貴裕)

 イランでは、ここ数週間の通貨安と急激なインフレを受け、2025年末から首都テヘランなど複数の都市で抗議デモが発生していた。26年1月8日夜、イラン各地で激化。暴徒が道路を封鎖し、公共施設を破壊した。政府庁舎や警察署が襲撃され、民間の商店さらにはモスク(イスラム礼拝所)にも被害が及んだ。治安当局と暴徒らの衝突で、多くの死傷者が出た。

 イランの最高指導者ハメネイ師は、「国内における暴動や破壊行為は敵国の工作だ」と非難。「外国の傭兵(ようへい)には容赦しない」と断言した。ハメネイ師は、イランの若者に対し、常に備えて団結するよう呼び掛け、「すべての敵に打ち勝つ」と強調した。イラン革命防衛隊(IRGC)の情報部は9日の声明で、「敵国が市場の不安定化に対する抗議行動を暴動に転化させ、安全と秩序を混乱させている」と述べた。声明は、「暴動によって犠牲になった人々の責任は、これらの陰謀を企てた者たちにある」と強調した。イラン最高安全保障委員会は、反政府デモ後に発生した一連の騒乱は、イスラエルによって仕組まれたものだと指摘。暴動に参加している破壊工作員に対し、容赦なく対処すると警告した。

 トルコのフィダン外相は10日、地元テレビ局とのインタビューで、イランの抗議活動の一部は外部から操作されていると主張した。「イスラエル対外情報機関モサドがイラン国民に対しインターネットを通じて政権に反抗するよう呼び掛けている」と指摘。「モサドは抗議デモを利用してイランを不安定化させている」と非難した。「イスラエルは、イランの国内問題を意図的に利用して政権を弱体化させようとしており、その行動は公然と行われている」と述べた。

 また、イランに対しては、「交渉の可能性を妨害するような戦術はイランを孤立させ、イスラエルによる軍事行動を正当化するだけだ」と警告。交渉による合意は、地域の安定にとって不可欠であり、イスラエルによる攻撃を排除することにもなるとして、中東の安定化に向けた共同リーダーシップの可能性を受け入れるよう強く求めた。フィダン氏は、イスラエルのネタニヤフ首相はより広範な地域紛争を狙っており、25年12月下旬の訪米は「ゴーサイン」を得るためのロビー活動の一環だったと主張する。

 イスラエルの軍事アナリストであるアロン・ベンダビド氏は、イスラエル紙マーリブで、モサドと関係のあるペルシャ語のⅩ(旧ツイッター)アカウントが、暴動発生当初に「われわれは、どこにいても抗議デモを行う皆さんと共にいる」と投稿していたことを指摘した。また、同アカウントは「民兵組織バシジや治安部隊の数千人の活動家が抗議デモに参加した」と投稿したが、後に削除されたという。ベンダビド氏は、これらの投稿はモサド内で心理作戦を担当する部隊の判断ミスだと指摘する。「たとえイスラエルに有利に見えても、事態への介入は避けるべきだ」と主張した。「モサドは、より慎重に活動し、投稿を減らす方が効果的だ」と述べた。

 トランプ米大統領は、イラン当局がデモ参加者を殺害するなら徹底的に攻撃すると繰り返し発言、軍事介入も辞さない姿勢を示している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今月10日、米当局者の発言を引用し、米政権が、イラン攻撃を実施する場合の標的について予備協議を行ったと報じた。選択肢の一つとして、複数の軍事施設への大規模な空爆が議論されたという。ただ、合意には至っていないという。

 イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ首相とルビオ米国務長官は10日、電話会談で、イランへの米国の介入の可能性について協議したという。

 イスラエルと米国は25年6月、イラン核関連施設を攻撃し破壊した。イランの核保有や弾道ミサイルなど軍備拡大を警戒するイスラエルと米国が、デモ隊への弾圧などを理由にイランへ攻撃を仕掛ける可能性がある。

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