トップ国際中東停戦から1年、ヒズボラ再軍備 イランから武器密輸 イスラエル レバノン南部で攻撃強化

停戦から1年、ヒズボラ再軍備 イランから武器密輸 イスラエル レバノン南部で攻撃強化

27日、レバノン南部に展開する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)(AFP時事)
27日、レバノン南部に展開する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)(AFP時事)

 イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦が11月27日で1年となる。レバノン政府が武装解除を進めているものの、ヒズボラはこれを拒否し再軍備の動きだ。レバノン南部の国境近くで駐留を続けるイスラエル軍は、ヒズボラ拠点への攻撃を強化した。(エルサレム森田貴裕)

 イスラエル軍は11月6日、レバノン南部にあるヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」の武器庫やインフラを標的に一連の大規模な空爆を実施し、ヒズボラが武装解除されない限り攻撃を強化すると表明した。イスラエル軍によると、標的となった武器庫は、民間人居住区の中心部に位置しており、ヒズボラが民間人を人間の盾として利用していることを示す新たな例となっているという。イスラエルは攻撃前、公式に警告を発し、標的となる地域の住民に対し、指定された場所から500㍍以上距離を保つよう命じている。レバノン軍が住民の即時避難を支援した。

 レバノン南部では、イスラエルが国境地帯を監視する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に提供した情報に基づき、レバノン軍がロケット弾発射装置などヒズボラの武器解体を進めてきた。この1年間で国境地域から多くの兵器が撤去された。ただ、撤去プロセスが進むにつれ、ヒズボラが残りの兵器の引き渡しを拒むようになった。9月初旬、レバノン軍は2025年末までにヒズボラを武装解除する計画を提示した。ヒズボラはこれを断固として拒否。最高指導者カセム師は9月27日、ナスララ師の追悼式典で「武器を手放すつもりはない」と宣言した。

 イスラエルのネタニヤフ首相は11月初め、「レバノン政府が停戦下でヒズボラの武装解除に失敗した場合、イスラエルは行動を起こす」と警告。カッツ国防相は、「レバノン政府は約束を果たさなければならない」と強調し、イスラエル北部の防衛に向けた取り組みを強化すると宣言した。イスラエル政府報道官は6日、記者団に、「われわれは、ヒズボラの再武装や、23年から24年にかけてイスラエル軍が破壊したテロインフラの回復を許さない」と述べた。

 イスラエル紙イディオト・アハロノトの軍事ジャーナリストであるロン・ベンイシャイ氏は、レバノン軍の活動は依然として限定的で、ヒズボラによるトンネル建設や塹壕(ざんごう)構築など軍事インフラの再建を阻止できていないと指摘する。さらに深刻な懸念は、レバノン東部ベカー高原には、イランからイラクを経由してヒズボラの基地や訓練キャンプに至る秘密の陸路を通って武器などが既に密輸されているという。

 イスラエルは、ヒズボラ再建の動きが判明する都度、すべて攻撃している。13日早朝にも、レバノン南部にあるヒズボラ武器貯蔵施設などの地下施設を空爆したと発表。軍によれば、これらの地下施設は民間人居住地域の近くに位置していたという。軍が提供した攻撃のビデオ映像では、最初の攻撃後に1カ所で2次爆発が発生し、既にあった爆発物がさらに起爆したことを示している。軍は、ヒズボラが停戦の合意内容に違反して軍事インフラを再建していると非難。国防のためにあらゆる脅威を排除し、作戦を継続するとしている。停戦合意が発効した24年11月27日以来、レバノン南部地域ではヒズボラの拠点を標的としたイスラエル軍による攻撃で、民間人100人以上を含む300人以上が死亡している。

 ヒズボラのアリ・ファイヤド国会議員は、「イスラエルは、レバノンへの圧力を強め、条件に従わせるために米国の支援を得て軍事作戦をエスカレートさせている」と述べた。ファイヤド氏は、米国とイスラエルが「敵対行為を終了させ、正常化への路線に変えようとしており、最終的に和平合意につながる可能性がある」と非難。「レバノンは、そのような選択肢を受け入れるつもりはない」と断言した。

 イスラエル軍は、最近の攻撃について、戦闘再開ではなく、時限付きの強制措置と位置付け、停戦を隠れみのに再軍備を試みるヒズボラを標的とした作戦だとしている。また、レバノン軍に対し、ヒズボラの武装解除をより積極的に行うよう圧力をかけている。

 レバノン政府がヒズボラの武装解除に失敗した場合、イスラエルは米国と連携しながら、武装解除実現のために軍事作戦を拡大する可能性がある。

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