
【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領は23日、自身のSNSでイスラエルとイランが「完全かつ全面的な停戦」に合意したと発表した。翌日午前1時頃(日本時間午後2時頃)には、「停戦は現在発効している。違反しないでほしい」と投稿した。ただその後、イスラエルはイランが停戦に違反しミサイル攻撃を行ったと主張、順調に停戦が実現するかは予断を許さない状況だ。
トランプ氏は「12日戦争が正式に終結し、世界は歓迎するだろう」と述べた。米国が22日、イランの核施設3カ所を空爆し紛争拡大も懸念された中、実際に停戦すれば、「力による平和」を掲げるトランプ氏の大きな外交的成果となる。
トランプ氏によると、イスラエルとイランは進行中の作戦完了後、まずイランが停戦を開始。その12時間後にイスラエルが追随し、24時間後には公式に終結させる。両国がこれを履行すれば、日本時間25日午後1時ごろ実現する。
イスラエルのネタニヤフ首相は停戦案に合意したと発表した上で、「核と弾道ミサイルの、差し迫った脅威を排除した」と戦果を強調。
イランのアラグチ外相はX(旧ツイッター)で、イスラエルが攻撃を停止すれば「報復を続ける意図はない」と表明した。ただ、停戦合意自体は現時点で、存在しないとも主張した。
こうした中、イスラエルのカッツ国防相はイランが停戦合意を破ったとして、「強力に対応」するよう軍に指示した。一方、イラン側は、イスラエルへの攻撃を否定している。
トランプ氏はSNSでイスラエルに対し「すぐにパイロットを帰還させろ」と自制を求めた。その後、別の投稿で「イスラエルはイランに攻撃しない」「停戦は有効だ」と強調した。
米国への報復として、イランは23日、カタールにある米軍基地をミサイルで攻撃。ただ、イラン側から米側に事前通告もあり、被害者はいなかった。
バンス副大統領はトランプ氏の停戦合意発表直後、FOXニュースに出演し、「大統領は1人の米国人の死傷者も出さず、イランの核計画を破壊した」と成果を強調。トランプ氏が「リセットボタン」を押し、中東に長期的平和をもたらそうとしているとし、今後の展望に期待を示した。