核施設を空爆、要人を殺害

【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は13日未明(日本時間同日朝)、イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設や軍事施設などを標的とした大規模な空爆を開始した。
イスラエル軍報道官は13日、イランへの空爆について声明を出し、空軍戦闘機200機以上が参加した作戦で、イラン各地の100カ所以上を攻撃したと発表。この攻撃で、イラン軍トップのバゲリ参謀総長や精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官ら3人の高官を殺害したと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は13日未明のビデオ声明で、「作戦の目的はイランの核関連施設や弾道ミサイル工場、軍事力を破壊することだ」と強調。「イランは核爆弾9発分に相当する高濃縮ウランを保有し、ここ数カ月で前例のない核兵器化を進めている」と指摘し、「われわれは、これらの脅威を次世代に残すことはできない」と述べた。

ネタニヤフ氏は同日朝、新たに声明を発表し、「イランへの奇襲攻撃は成功した」と戦果を誇った。ネタニヤフ氏は、必要な限り作戦を継続するとしており、イランに対する攻撃が数日続く可能性がある。
イランの最高指導者ハメネイ師は13日、声明で、イスラエルによる同国への攻撃に対し、「シオニスト政権(イスラエル)は厳しい罰に直面し、必ず報いを受けるだろう」と報復を宣言した。
イスラエルのカッツ国防相は13日、イランへの先制攻撃で、イランからの報復攻撃が予想されるとして全土に非常事態を宣言した。
イスラエルによる対イラン攻撃は昨年10月以来で、2期目のトランプ米政権発足後は初めて。
トランプ米大統領は、イランが核兵器を保有してはならないと繰り返し述べてきたものの、軍事行動ではなく外交を通じて事態を回避したいと強調している。12日には、対イラン攻撃に踏み切る可能性のあったイスラエルに対し、攻撃を自制するよう要求していた。