
【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと戦闘を続けるイスラエル軍は、ハマス幹部が潜伏しているとみているガザ地区南部の都市で攻勢を強めている。
イスラエル軍は18日、ガザ地区南部の最大都市ハンユニスでの作戦でハマスの主要拠点を襲撃し、過去1日でハマス戦闘員約40人を殺害したと発表。軍によると、制圧したハマス大隊司令官の事務所では、多数の武器や文書を押収したという。また、南部ラファでは、ロケット弾の発射拠点を標的に空爆を実施した。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは18日、ガザ地区南部ラファでのイスラエル軍による空爆で、16人が死亡したと伝えた。
イスラエルのネタニヤフ首相は17日、イスラエル南部にある空軍基地を訪問し、「われわれは完全な勝利を収めるまで、陸空海で戦い続ける」と強調した。
一方、ヨルダン軍は17日、ハンユニス市内に設置した同軍の野戦病院が、付近でのイスラエル軍による攻撃の影響で甚大な被害を受けたと発表した。ヨルダン軍は、イスラエルが「重大な国際法違反を犯した」と非難した。
報道によると、パレスチナ投資基金のモハメド・ムスタファ総裁は17日、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会で、ガザ地区の住宅再建には送電網などインフラや病院を除き少なくとも150億㌦(約2兆2000億円)が必要になると述べた。
ガザ地区では、住宅35万戸が完全または部分的に破壊されたとみられている。住民230万人のほとんどが避難生活を余儀なくされ、人道状況は厳しさを増している。ムスタファ氏は「ガザ地区での戦争が続けば、戦争よりも飢餓や飢饉(ききん)で亡くなる人の方が多くなるだろう」と指摘した。