
【エルサレム森田貴裕】交戦を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスの交渉を仲介するカタールは16日、パレスチナ自治区ガザで拘束されているイスラエル人の人質に医薬品を提供することを条件に、ガザ地区への医療支援物資の搬入量を増やすことで合意したと発表した。
イスラエルとハマスが何らかの合意に達するのは、11月下旬の1週間の戦闘休止以来。
カタール外務省の声明によると、医療支援物資は17日にドーハからカタールの軍用機2機でエジプトに空輸され、その後ガザ地区へ輸送される。交渉にはフランスも協力した。報道によれば、フランスで用意された医薬品などが提供対象となる人質45人に届けられるという。
イスラエル首相府は声明で、「医薬品が目的地に届くよう配慮する」と述べた。首相府は12日に人質へ向けた医薬品が数日内に届くと発表していた。医薬品には、心臓病や高血圧、喘息など慢性疾患を持つ人に必要な薬が含まれるという。
イスラエル軍は16日もガザ地区の中部や南部で攻勢を強めた。軍によると、地上部隊と空軍の連携による的を絞った空爆で、多数のハマス戦闘員を殺害。作戦地域で多くの武器を発見したという。
ガザ保健省は17日の声明で、過去24時間で163人が死亡したと発表。交戦が始まった10月7日以降、ガザ地区での死者数は2万4448人に上った。
イスラエル側は、10月下旬の地上作戦開始以降、これまでに兵士192人が戦死した。ガザ地区には人質130人以上が今も拘束されている。