
【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザに残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指すイスラエル軍は27日、過去1日でガザ地区にあるハマスの軍事施設や戦闘員など約200カ所を標的に空爆や砲撃を行ったと発表した。
イスラエル軍のハレビ参謀総長は26日、声明で、「この戦争はさらに何カ月も続くだろう」と述べ、長期化するとの見通しを示した。また、「テロ組織を徹底的に解体するには、魔法のような解決策や近道はない」と述べ、ハマス壊滅まで戦闘を継続する意志を示した。
ハレビ氏はまた、「ガザ地区北部でハマス大隊の解体が完了に近づいている」との見方を示し、南部ハンユニスや中部難民キャンプなどに作戦の重点を置いていると明らかにした。
ガラント国防相は26日、議会の外交防衛委員会で、「イスラエルは多方面で戦争状態にある」と述べた。ガラント氏は、「ガザ地区、レバノン、ヨルダン川西岸地区、シリア、イラク、イエメン、イランの計7地域から攻撃を受けている」と説明。このうち6方面で対応措置を取っていると明らかにした上で、「敵対する者は誰であろうと標的なり得る。免れることはできない」と警告した。
一方、イスラエル北部国境付近では26日、レバノン南部からイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの戦闘員がギリシャ正教の教会などに向けて複数の対戦車誘導ミサイルを発射し、イスラエルの民間人1人と兵士9人が負傷した。
ヒズボラはイスラエル北部に向けてロケット弾や対戦車誘導ミサイルの発射を続けており、イスラエル軍は報復として、レバノン南部のヒズボラ拠点を標的に空爆や砲撃で応戦している。
ハマスとの交戦開始以降、北部国境付近ではこれまでに民間人4人と兵士9人が犠牲となった。ヒズボラ側は、イスラエル軍による攻撃で戦闘員126人が殺害されたとしている。