
【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は1日、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を再開したと発表した。同軍は声明で「ハマスが戦闘休止合意に違反し、イスラエル領内を攻撃した」と非難した。
イスラエル軍によると、ハマスは、戦闘休止の期限が切れる約1時間前、ガザ地区からイスラエル南部へ向けてロケット弾の発射を再び開始し、数十発を発射した。
イスラエルとハマスの戦闘休止合意は11月24日朝に発効し、2度延長され、1日午前7時(日本時間同日午後2時)が期限だった。延長の継続に向け、双方と仲介役のカタールなどが協議を続けていた。
ハマスは戦闘休止7日目となった30日夜も、イスラエル南部からガザ地区に連れ去った人質のうちイスラエル人8人を解放した。前日既に解放された2人を含め、合意要件の10人とした。イスラエル側は、収監しているパレスチナ人の女性や未成年者30人を釈放した。
この7日間で、ハマスはガザ地区で拘束する人質のうち計105人を解放した。イスラエル側は、パレスチナ人計240人を釈放した。
イスラエル首相府は1日朝、声明で、「ハマスが戦闘休止の合意に違反し、女性の人質全員を解放する義務を果たさず、イスラエルに向けてロケット弾を発射した」と指摘。「戦闘再開に伴い、人質の帰還、ハマスの壊滅、テロ再発防止という目標達成に向けたわれわれの決意は固い」と表明した。
中東のメディアによると、イスラエル軍は1日、ガザ地区南部の都市ハンユニスの住民に対し退避するよう呼び掛けるビラを配布したという。
イスラエルを訪問したブリンケン米国務長官は30日、ネタニヤフ首相らとの会談後の記者会見で、「ガザ地区北部で見られたような、民間人の大量の犠牲や大規模な避難を南部で繰り返さないことが米国にとっての責務だと強調した」と語った。また、病院や浄水場など生活に不可欠な重要インフラの損害を回避するよう求めたと説明。「ハマスが民間人を人間の盾にしているため、戦闘は困難と認めるが、イスラエルには依然として民間人への被害を最小限に抑える義務がある」と強調した。
一方、ガザ保健省は1日、合意の期限が切れてから数時間で、イスラエル軍による攻撃で14人が死亡、数十人が負傷したと発表した。