
【エルサレム森田貴裕】イスラエルとイスラム組織ハマスは22日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を4日間停止するとともに、双方が拘束する囚人や人質の一部を解放することで合意した。交渉を仲介したカタールが同日、発表した。先月7日の交戦開始以来、継続的な戦闘停止の合意に至ったのは、初めて。
カタールの発表によれば、戦闘停止の開始は23日以降になる見通し。
ガザ地区には、ハマスがイスラエルから連れ去った人質約240人が拘束されている。イスラエル首相府の声明によると、第1段階として、このうち女性と子供少なくとも50人が解放され、交換条件としてイスラエルは、同国内で収監しているパレスチナ人の女性や未成年者150人を釈放する。
イスラエルは22日、釈放される可能性のあるパレスチナ人囚人300人の名簿を公表した。その中に殺人罪で有罪判決を受けた者はいない。
第2段階では、追加で人質10人の解放につき戦闘停止が1日延長され、それに応じて囚人が釈放されると説明した。ハマスはこれまでに高齢女性ら4人を解放している。
イスラエルはまた、悪化の一途をたどるガザ地区の人道状況改善に向け、燃料を含む多くの人道支援物資の搬入を許可すると明らかにした。
ハマスの声明によると、戦闘停止の一環として、イスラエル軍はドローン(無人機)の飛行をガザ地区南部で完全に停止し、北部では午前10時から午後4時まで1日6時間停止する。
ハマスは声明で「われわれの指は引き金に掛かったままだ」と強調。「戦士たちは(パレスチナ)市民を守り、占領者を打ち負かすために警戒を続ける」と述べた。
ハマスは、23日午前10時に戦闘を停止すると発表した。
イスラエルのネタニヤフ首相は21日深夜、合意に先立つ臨時閣議で、「難しい決断だが、正しい決断だ」と述べ、ハマスの壊滅と人質全員の帰還という目標達成まで、戦闘を続けると強調した。
バイデン米大統領は21日、イスラエルとハマス間の人質解放に向けた合意を歓迎するとの声明を発表した。バイデン氏は「この合意のすべての内容が完全に実施されることが重要だ」と指摘し、「米国人の人質がさらに解放されるはずであり、全員の解放に向けて取り組み続ける」と強調した。