
【エルサレム森田貴裕】イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの北部にあるガザ市の病院で17日、大規模な爆発が起き、ガザ保健当局は、少なくとも500人が死亡したと発表した。ハマスは、イスラエル軍による空爆を受けたと主張。一方、イスラエル軍は、武装組織「イスラム聖戦」によるロケット弾の誤射との見方を示し、関与を否定した。
イスラエル軍は18日、病院の爆発前後が記録されたビデオを公開した。同空軍のドローン(無人機)が撮影したとする映像には、武装勢力がロケット弾の発射に失敗し病院の駐車場で爆発が起きたことが示されている。同軍は、空爆でない証拠として爆発現場にクレーターがないことを挙げている。イスラエル軍の空爆では通常、地面に大きな穴が残るという。イスラム聖戦は犯行を否定している。
ネタニヤフ首相は17日夜、声明で「ガザの病院を攻撃したのは野蛮なテロリストであり、イスラエル軍ではない」と述べた。軍報道官によると、交戦が始まって以来、武装勢力が発射したロケット弾約450発がガザ領内に落下した。
イスラエルのメディアによると、病院の爆発で多数の死傷者が出たことを受け、ヨルダンの首都アンマンで18日に予定されていたアブドラ国王、バイデン米大統領、エジプトのシシ大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長との4者会談がキャンセルとなり、バイデン氏のヨルダン訪問は延期となった。
イスラエル軍は18日、ガザ地区北部とガザ市の住民に対し、南部への避難を改めて呼び掛けた。同軍報道官によると、人道支援活動が行われているハンユニス西部のアルマワシで支援が受けられるとしている。
中東のメディアによると、ガザ地区南部のエジプト境界にあるラファ検問所に18日、ガザへの支援物資を搭載したトラック100台が到着した。ただ、検問所のガザ側はイスラエル軍によるとみられる空爆で被害を受け閉鎖されており、トラックは立ち往生している。いつ検問所を通過できるのかは不透明だ。