トップ国際中東ハマス大規模奇襲攻撃 陸・海・空から侵入 イスラエル全土に非常事態宣言

ハマス大規模奇襲攻撃 陸・海・空から侵入 イスラエル全土に非常事態宣言

8日、イスラエル南部スデロトで、破壊された警察署前に展開する治安部隊(EPA時事)

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが7日、イスラエルに対し大規模な奇襲攻撃を行った。ロケット弾数千発を発射し、数百人のハマス戦闘員が陸・海・空からイスラエル領土内に侵入した。イスラエルは予備役兵を招集し、報復攻撃を開始した。(エルサレム・森田貴裕)

ガザ地区の境界フェンス沿いでは9月中旬から、ハマスによる反イスラエル・デモが約2週間続き、暴徒らとイスラエル軍の衝突でパレスチナ人に死者が出ていた。それまでイスラエルはユダヤ新年ということもあり、ガザ地区とのエレツ検問所を閉鎖していたが、カタールの仲介により検問所を再開。ハマスは連日行っていた反イスラエル抗議活動を中止した。境界沿いの暴動は封じ込められたと考えたイスラエル軍は、テロの波が続くヨルダン川西岸に部隊を増派し、南部の兵力を縮小していた。軍情報当局は、ハマスの攻撃を予期していなかった。

10月7日早朝、ガザ地区から数千発のロケット弾が発射された。テルアビブやエルサレムにもロケット弾が発射され、空襲警報が鳴り響き、イスラエル軍の対空防衛システム「アイアンドーム」が迎撃した。集中砲火開始と同時に、ハマス戦闘部隊数十人がイスラエル軍基地内などにつながる多くの地下トンネルを通って侵入し、軍基地や南部の町々を占拠した。海からはゴムボートで、空からはパラグライダーを使って戦闘員が侵入していた。ガザ地区の境界フェンスは破壊され、機関銃を搭載したピックアップトラックが侵入した。イスラエルは、完全に不意を突かれた。

この日はユダヤ教の祭日と安息日が重なりイスラエルにとっては神聖な日で、ちょうど50年前の1973年10月6日、イスラエルで最も神聖な日であるヨム・キプール(大贖罪(しょくざい)日)にアラブ連合軍がイスラエルに対し奇襲攻撃を開始した第4次中東戦争(ヨム・キプール戦争)を想起させた。

ハマス戦闘員はガザ境界に近い都市や町へ侵入、イスラエルの民間人や兵士らを殺害し、拉致した。ハマスの攻撃は、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラのイスラエル攻撃計画と類似している。

一方、イランの最高指導者ハメネイ師の顧問は「われわれはパレスチナの戦士たちを祝福する」と述べ、「パレスチナとエルサレムが解放されるまで攻撃を支持する」と表明した。ハマスなど武装勢力を支援するイランは、ガザ地区やヨルダン川西岸のパレスチナ人を扇動し、イスラエルへの攻撃を開始するよう促している。

イラン代理勢力のヒズボラは、パレスチナ抵抗勢力の指導部と直接連絡を取り合っていることを明らかにした上で、ハマスの攻撃は「イスラエルとの正常化を求める人々へのメッセージだ」と述べ、米国との防衛協定などを条件にイスラエルと国交正常化に向け接近しているサウジアラビアを示唆した。

イスラエルのネタニヤフ首相は7日、声明で「われわれは戦争状態にある。ハマスはかつてない大きな代償を払う羽目になるだろう」と述べ、第1目標として侵入した戦闘員を一掃し地域の安全と平穏の回復、第2に並行してガザ地区のハマスへ報復攻撃を行い、第3にイラン代理勢力の戦争参加阻止を表明した。予備役兵が招集され、北部国境にも部隊が増派された。イスラエルは、全土での非常事態宣言を発令。ネタニヤフ氏は「この戦争は長引く」と述べている。

イスラエル南部地域の22カ所で、戦闘員がイスラエル住民を人質に住宅地に立てこもるなど、翌8日までイスラエル軍との銃撃戦が続いた。イスラエル軍は8日、交戦でハマス戦闘員400人が死亡し、数十人が逮捕されたと発表した。ガザ地区ではイスラエル軍が8日までにハマス軍事施設など数十カ所を攻撃、さらにハマス情報本部などが入る高層ビル10棟を標的に攻撃を行った。今後も、ガザ地区への攻撃が続く可能性がある。

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