
【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍との大規模な交戦は10日、4日目に入り、双方の死者は計1600人を超えた。イスラエルのメディアによると、イスラエル側では少なくとも900人が死亡し、2700人以上が負傷。パレスチナ保健省によると、ガザ地区では700人以上が死亡し、3900人以上が負傷した。
イスラエル軍報道官は10日、イスラエル南部のガザ地区周辺地域のイスラエル人コミュニティーやキブツを完全に掌握し、ガザ地区との境界を封鎖したと発表。「イスラエルに侵入したテロリストは一人もいない」と述べた。また、同軍は9日夜から10日朝にかけてガザ地区のハマス軍事施設など計100カ所以上を標的に空爆を実施した。同軍は10日もガザ地区への空爆や砲撃を続けているという。
イスラエル軍によると、ハマス戦闘員と同軍の戦闘が続いたイスラエル南部では、多数のハマス戦闘員の遺体が発見された。また、戦闘があったガザ地区近郊のキブツ・ベエリでは、救助隊によると、女性や子供を含むイスラエル人100人以上の遺体が収容された、など情報が錯綜(さくそう)している。
一方、北部レバノンとの国境で9日、パレスチナ武装勢力の戦闘員4人がイスラエル領内に侵入し、イスラエル軍部隊との戦闘で、戦闘員2人が死亡した。イスラエル側も兵士1人が死亡した。レバノンからはイスラエルに向けて迫撃砲弾による攻撃が断続的に続いており、航空機も侵入し、イスラエル軍が撃墜した。
イスラエル政府は9日、さらに36万人の予備役兵の招集を承認した。外国へ旅行中の予備役兵を帰還させるため、空軍の輸送機をヨーロッパの各地へ派遣するという。イスラエル軍は既に、これまでで最大規模となる予備役30万人を招集している。
ネタニヤフ首相は9日、声明で「空爆は始まりにすぎない。人質の解放のためあらゆる手段を講じる」と述べた。イスラエル軍によるガザ地上侵攻の可能性もあり、侵攻が開始されれば被害拡大の恐れもある。