
【エルサレム森田貴裕】約3年半で5回目となった1日投票のイスラエル総選挙(国会定数120)は3日夜開票が終了し、ネタニヤフ元首相を中心とする右派・宗教勢力が64議席で過半数を獲得し、勝利が確定した。ネタニヤフ氏は約1年5カ月ぶりに政権復帰する見通しとなった。同氏は今後、連立政権の発足に向け支持を受ける宗教政党など各党と組閣協議に入る。
選挙管理委員会によると、ネタニヤフ氏率いる最大野党の右派「リクード」が32議席で第1党となった。ネタニヤフ支持派陣営は、極右「宗教シオニズム」が14議席を獲得し、ユダヤ教政党が計18議席を獲得。過半数の61議席を上回った。
一方、ラピド首相率いる与党の中道「イェシュアティド」は24議席で第2党となり、ガンツ国防相率いる新たな政党、中道右派「国民統一」が12議席を獲得したが、与党の左派「メレツ」が議席を得るのに必要な最低得票率3・25%に届かず6議席を失うなど、反ネタニヤフ派陣営は合計で51議席にとどまった。
ラピド氏は3日、ネタニヤフ氏に電話をかけ祝意を表し、「イスラエルの国民と国家のために、ネタニヤフ氏の成功を祈る」と述べた。
今回の総選挙で躍進した極右「宗教シオニズム」は、パレスチナ人の追放など過激な政策を示しており、極右政党との連立政権が発足すれば、地域の緊張の高まりや、対米関係など外交への影響が懸念される。