トップ国際中東・アフリカ米は軍事圧力強化、開戦も イスラエル、参戦準備

米は軍事圧力強化、開戦も イスラエル、参戦準備

アラビア海を航行中の米空母「エーブラハム・リンカーン」=2019年5月に米海軍が公開(AFP時事)
アラビア海を航行中の米空母「エーブラハム・リンカーン」=2019年5月に米海軍が公開(AFP時事)

 米国とイランの核協議が2月6日、8カ月ぶりに再開した。米側は一貫してイランのウラン濃縮活動の完全停止を求め、軍事圧力を強めている。対するイランは、核の平和利用は認められた権利だと主張し、対立の姿勢を崩していない。(エルサレム森田貴裕)

 イランの核問題などを巡る協議が2月6日、オマーンで再開した。イスラエルと米国がイランを攻撃した昨年6月以降、核協議は中断していた。2回目の核協議は今月17日、スイスのジュネーブで行われた。米国はイランに対し、核開発計画の完全放棄、ウラン濃縮の完全停止、弾道ミサイル開発の制限、中東各地の親イラン武装組織への支援停止を求めている。

 イスラエルのネタニヤフ首相は2月初め、トランプ米大統領と会談した際、米国とイラン間のいかなる合意も、「イランからの濃縮ウランの完全撤去や濃縮能力の排除、弾道ミサイル問題の解決が含まれなければならない」と強く主張した。

 米国は、イランの核開発計画などについて交渉を進める一方で、イランへの圧力を強めるため、中東地域における軍事プレゼンスを強化するという戦略に出た。米ニュースサイト「アクシオス」によると、既に空母打撃群、多数の軍艦、数百機の戦闘機、そして多数の防空システムがイランの周辺に配備されているという。中東最大の同盟国であるイスラエルもイランへの攻撃に備えた。複数の欧州諸国が自国民に対してイランからの退去を勧告している。

 これに対し、イランの最高指導者ハメネイ師は17日、「空母よりも危険なのは、それを海の底に沈めることができる兵器だ」と述べ、米国を牽制(けんせい)。イスラム革命防衛隊の軍事演習のためだとして、ホルムズ海峡の一部を数時間閉鎖した。

 イランのアナリストであるアタ・モハメド・タブリーズ氏は、英ロンドンに拠点を置くニュースサイト「イラン・インターナショナル」で、イランの指導者たちは、交渉による譲歩はイスラム体制を弱体化させ、最終的に体制存続を脅かすとし、戦争の方が生き残る可能性が高いと考えているという。

 昨年6月の米・イスラエルによる対イラン12日間戦争では、米軍によるイランの核関連施設への空爆後、カタールのドーハ南西にある中東最大の米軍施設で約1万人が駐留するアルウデイド空軍基地がイランによるミサイル攻撃を受けた。中東の米軍基地ではイラン空爆前、一部要員と家族に対し退避措置が取られていた。米軍による新たな攻撃が行われれば、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、バーレーンにある米軍施設がイランのミサイルやドローンを使った攻撃を受ける可能性がある。

 イランは、米軍が自国を攻撃した場合、中東にある米軍基地を攻撃すると警告している。報道によれば今年1月中旬、カタールの米軍基地に駐留する一部要員に対し、基地から離れるよう勧告が出された。

 イスラエル紙イディオト・アハロノトの軍事ジャーナリスト、ロン・ベンイシャイ氏は、中東地域における米軍の大幅な軍事プレゼンス強化の兆候は、持続的な軍事圧力を目的とした長期的な作戦への移行だと分析する。継続的な攻撃は、イランの戦力を大きく削(そ)ぎ、イラン指導部に大きく譲歩させ、政権の統制力を弱めることができる。ハメネイ師や、最高指導者後継候補の息子が標的になる可能性もあるという。

 イスラエルは、米国とイランの対立が、イランやその代理武装勢力であるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、親イラン武装組織フーシ派のミサイル能力を大幅に弱体化させることができる機会と捉え、米イラン開戦に備えている。

 米国は、イランとの合意をイスラム暦のラマダン(断食月)が明ける3月中旬まで待つかもしれない。ただ、トランプ氏は、期限を10~15日間と示しており、それよりも早い段階で攻撃が行われる可能性がある。

 米イラン開戦になればイスラエルが参戦し、その影響は中東地域全体に及ぶことになるだろう。

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