【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は12日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファを拠点としていたイスラム組織ハマスの4個大隊全てを壊滅させ、同市街地を完全に制圧したと表明した。イスラエルのメディアが同日、報じた。
イスラエル軍は5月、ラファへの地上侵攻を開始し、ガザ地区南部とエジプトの境界沿いの「フィラデルフィ回廊」を掌握した。軍当局者は回廊で記者団に対し、ラファでの作戦でこれまでにハマス戦闘員2300人以上を殺害し、総延長13㌔以上のトンネルを破壊したと明らかにした。軍関係者によれば、ラファの地下トンネルは全てつながっており、大きな地下都市を形成していたという。深さ40メートルの主要な地下施設には、別経路の施設があり、ハマスの司令官など幹部らが使用していたとされている。
軍はまた、フィラデルフィ回廊で地下トンネル203本を発見し、うち9本がエジプトに通じていたが、いずれも既に崩壊しており封鎖された状態だったという。公開されたエジプトに通じる地下トンネルは、これまでガザ地区で発見された中で高さ、幅が最も広く、車両が通れるほどの大きさ。
イスラエルのネタニヤフ首相は9月初め、ハマスの武器密輸ルートになっているとして、同回廊への軍の駐留を続けると主張した。軍の完全撤退を求めるハマスとの溝が埋まらず、停戦交渉は停滞している。
イスラエル軍は12日、シリア南西部クネイトラ地域の2カ所を攻撃し、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員を殺害したと発表した。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は12日、イスラエル軍によるドローン(無人機)攻撃や砲撃で、2人が死亡、1人が負傷したと伝えた。
SANAによれば、8日深夜にもシリア西部ハマ県でイスラエル軍によるとみられる複数の攻撃があり、18人が死亡、37人が負傷した。