【エルサレム森田貴裕】イスラエルが占領するゴラン高原にあるサッカー場を27日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが発射したとみられるロケット弾が直撃し、子供や若者少なくとも12人が死亡、20人以上が負傷した。イスラエル軍が同日、発表した。昨年10月にレバノンからイスラエル北部へ攻撃が始まって以来、イスラエル側の民間人犠牲者数としては最多となった。
これを受け、イスラエルのネタニヤフ首相は、声明で、「ヒズボラは今まで以上に重い代償を払うことになるだろう」と警告した。カッツ外相も、イスラエルの民放チャンネル12で「ヒズボラは越えてはいけない一線を越えた。全面戦争の瞬間が近づいている」と語った。全面衝突の懸念がさらに高まっている。
イスラエル軍報道官によると、現場はイスラエル北部のイスラム教ドルーズ派が多く住む町マジュダルシャムスにあるサッカー場で、ロケット弾が直撃した当時、少年サッカーが行われていた。犠牲者の年齢は10~20歳という。軍の調査によれば、サッカー場に撃ち込まれたロケット弾はヒズボラが保有するイラン製の「ファラク1」で、53㌔の弾頭を搭載していたという。一方、ヒズボラは今回の攻撃への関与を否定している。
ヒズボラは、昨年10月にイスラム組織ハマスとイスラエル軍との交戦が始まって以降、ハマスに連帯を示しイスラエル北部に向けて攻撃を続けており、イスラエルとレバノンの国境付近では連日、双方の攻撃の応酬が激化していた。これまでにイスラエル側で民間人24人を含む42人が死亡。レバノン側で民間人十数人を含むヒズボラ戦闘員ら460人以上が死亡した。