イラン、ヘリ墜落 事故原因「悪天候」か

来月28日に大統領選

イランのライシ大統領 4月17日、テヘラン(EPA時事)
イランのライシ大統領 4月17日、テヘラン(EPA時事)

【ウィーン小川敏】イラン北西部で19日にライシ大統領(63)、アブドラヒアン外相らを乗せたヘリコプターが墜落した事故を受けイラン国営メディアは20日、大統領選が6月28日に実施されると報じた。搭乗していたヘリコプターは1979年のイラン革命前の古い機体(米国製ベル212)で、事故の原因は「悪天候」(バヒディ内相)とされている。今後、軍による原因調査が行われる。

欧米の情報機関関係者は「悪天候の中、古いヘリコプターに搭乗するとは考えられない。危機管理がなされていない」と指摘する。今のところミサイルなど外からの影響については聞かれない。独シュピーゲル誌とのインタビューで、イスラエルのイラン問題専門家ラズ・ツィムト氏は20日、イスラエル側の工作説について「考えられない」と否定している。

また、欧州連合(EU)がイランの要請で行方不明のヘリコプターの捜索を支援するために衛星追跡システムを起動したことに対し、ドイツ・イスラエル協会のフォルカー・ベック会長は「イランのヘリコプターの捜索支援は外国のテロ組織を支援することに等しい」と批判している。

4月に85歳になった最高指導者ハメネイ師の健康状況は良好ではないといわれている。ハメネイ師が亡くなった場合、ライシ師が継承する予定だった。ハメネイ師の後継者選びが混沌(こんとん)とすることは必至だ。

中東専門家で専門誌ゼニスの編集長のダニエル・ゲルラハ氏は20日、ドイツ民間ニュース専門局ntvとのインタビューで、「国内の反体制派、改革派は弱く、保守派が国内を掌握しているから、ライシ師の死で国内が混乱するという懸念は少ない」と分析している。

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