【エルサレム森田貴裕】シリアの首都ダマスカスで1日、イラン大使館に隣接する領事部の建物がイスラエル軍によるとみられる空爆を受け、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の司令官や軍事顧問ら7人が死亡した。国営イラン通信(IRNA)などが同日、報じた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、複数のイスラエル当局者が自国による攻撃と認めた。イランと敵対するイスラエルは、シリア領内の親イラン民兵組織などの軍事施設を標的に空爆を繰り返しているが、イランの在外公館を攻撃するのは極めて異例だ。イスラム組織ハマスによる昨年10月のイスラエル奇襲で始まった中東地域の緊張がさらに高まり、情勢の不安定化が加速する恐れがある。
報道によると、攻撃の標的となったのは革命防衛隊のコッズ部隊のザヘディ司令官で、2020年1月にイラクの首都バグダッドで米軍の空爆により死亡したソレイマニ司令官に次ぐ高位とされる。
イスラエル軍報道官は、米メディアに対し、イランの在外公館への攻撃の関与については言及を避けたが、「攻撃された建物は公館ではなく、民間を装ったコッズ部隊の軍事施設だ」と述べた。
イランのライシ大統領は2日、「抵抗戦線の意志を打ち砕くことに失敗したシオニスト政権(イスラエル)は、自国を救うために再び無差別的な暗殺を実行した」と非難。「イスラエルは目標を達成できず、この卑劣な行為によって報復を受けることになるだろう」と強調した。イランの最高指導者ハメネイ師も「われわれの勇敢な男たちの手によってイスラエルは罰せられるだろう」と述べた。