【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘の休止や人質の解放を巡る間接交渉で、ハマスは25日、声明を出し、恒久的停戦に向けた当初の立場を堅持すると仲介国に通告したことを明らかにした。米国が提示していた妥協案を拒否した形。
報道によれば、米国はハマスが拘束する人質40人の解放と引き換えに、イスラエルで収監されているパレスチナ人囚人の釈放を従来の400人から800人程度にまで増やし、避難しているガザ地区北部住民を帰還させる内容の妥協案を提示。イスラエルはこの案に同意し、ハマス側の回答を待っていた。
ハマスは声明で、イスラエルは「われわれの提案する基本的な要求のいずれにも応じなかった」と主張した。
ハマスが14日に提示した案は、終身刑の受刑者を含むパレスチナ人囚人700~1000人の釈放と引き換えに、一部の人質を解放した後、恒久的停戦とガザ地区からのイスラエル軍の完全撤収、避難民の帰還、双方の拘束者全員の解放で合意するというものだ。
ハマスが妥協案を拒否したことを受け、イスラエル首相府は26日、声明で、仲介国カタールで18日から間接交渉の協議を続けていたイスラエル代表団の引き揚げを発表した。声明は、「ハマスの決定は交渉継続の意思がないことの明らかな証拠だ」と述べ、ハマスは恒久的停戦や軍の完全撤収など「極端な要求」をし続けていると非難した。