【エルサレム森田貴裕】中東歴訪中のブリンケン米国務長官は22日、イスラエルを訪れ、ネタニヤフ首相ら戦時内閣閣僚と会談し、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘の休止や人質解放を巡る交渉などについて協議した。
ブリンケン氏は21日、仲介国のエジプトでシュクリ外相との共同記者会見で、「合意に至るまでには困難な課題が残っているが、可能だと信じている」と強調。「米国とエジプト、カタール、イスラエルは協力して休戦案を提示してきた。(イスラエルとハマスの)溝は埋まりつつあり、われわれは合意に向けて努力を続ける」と語った。
一方、ハマスは、ガザ地区で拘束する一部の人質の解放と引き換えに、イスラエルに収監されている終身刑のパレスチナ人囚人数百人の釈放を要求。恒久的停戦を求めるハマスと、これを断固として否定するイスラエルとの隔たりは依然、大きい。米メディアによると、ブリンケン氏はカタールに対し、停滞する交渉を進めるためハマスへの圧力を強めるよう求めたという。
イスラエル首相府によると、イスラエル対外情報機関モサドのバルネア長官が22日に仲介国のカタールを再び訪れ、バーンズ米中央情報局(CIA)長官やエジプト高官らと協議するという。ハマスの壊滅を目指すイスラエルは、ハマスが提示した休戦案を拒否するとしており、交渉の行方は依然不透明だ。
ブリンケン氏は、イスラエルが計画するガザ地区最南部の都市ラファへの地上侵攻について、「大規模な地上作戦が実施されれば、さらに多くの民間人が犠牲になる」と指摘。人道危機のさらなる悪化を防ぐための「代替案」があると強調した。
イスラエルはバイデン米大統領の要請に応じて代替案を協議するための代表団を米ワシントンに派遣。来週にはガラント国防相も訪米し、オースティン米国防長官らとラファへの地上侵攻などについて協議する。
ブリンケン氏はまた、サウジアラビアのファイサル外相との20日の会談に触れ、イスラエルとサウジの関係正常化に向けた取り組みについて、「着実に進展している。歴史的な合意を達成できると信じている」と述べた。ただ、具体的な合意時期には言及していない。