【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘の休止や人質の解放を巡り、イスラエルのメディアはイスラエル対外情報機関モサドのバルネア長官率いる代表団が18日に仲介国カタールへ出発する予定だと伝えた。同日にも米国や仲介国の代表団と協議する見通しだ。
戦闘休止を巡る交渉は今月初めにエジプトでハマスや仲介国を交えて続けられたが、イスラエルは代表団を派遣せず、進展もなく中断していた。
ハマスは14日、新たな休戦案を仲介国に提示。報道によると、ハマスの案はイスラエルで収監されているパレスチナ人囚人700~1000人の釈放と引き換えに、ガザ地区で拘束する人質を解放する内容。次の段階で恒久的停戦の日程とイスラエル軍の完全撤収期限で合意を目指し、双方が拘束する囚人や人質全員の解放を進めるという。
イスラエルは恒久停戦を断固として否定しており、人質解放や戦闘休止の合意が履行された後も、ハマスの壊滅を目指しガザ地区での戦闘を再開すると主張している。双方の隔たりは大きく、交渉の行方は依然不透明だ。
イスラエルのネタニヤフ首相は17日の閣議で、ガザ地区最南部ラファへの地上侵攻について、「いかなる国際的圧力もイスラエルが戦争目的を達成するのを阻止することはできない」と強調し、作戦開始までに「数週間を要する」と述べた。また、ネタニヤフ氏は同日、エルサレムを訪問したドイツのショルツ首相との会談後の記者会見で、「人々をラファに閉じ込めたままで侵攻作戦を実行しない」と述べ、民間人の退避を優先する意向を表明した。
ラファにはガザ地区北部などから避難民ら約150万人が集まり、地上侵攻で民間人の犠牲者がさらに増える恐れがあるとして国際社会から攻撃を控えるよう求める圧力が強まっている。