【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治政府のアッバス議長は14日、2月下旬に辞意を表明していたシュタイエ首相の後任に、元自治政府高官のムハンマド・ムスタファ氏(69)を指名した。パレスチナ通信(WAFA)が同日、報じた。数週間以内に新内閣を発足させるとみられるが、それまではシュタイエ氏が暫定的に首相にとどまる。
ムスタファ氏は、世界銀行で15年間の勤務経験がある経済の専門家で、自治政府の副首相や経済相、アッバス氏の経済顧問を歴任。現在はパレスチナ投資基金総裁を務める。アッバス氏からの信頼が厚いムスタファ氏は、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争が終結した後のガザ地区再統合を目指し、汚職問題などで信頼が低下した自治政府の改革を主導する。
戦後のガザ地区を巡り、米国は自治政府に統治を委ねる方針を示しながら、汚職問題などを抱え機能していない自治政府に改革を要求していた。これに対してイスラエルは、自治政府がテロを容認しているなどと主張し同政府によるガザ地区の統治を拒否している。