米英、イエメン空爆3回目 フーシ派 紅海で商船を攻撃

米軍 シリアとイラクで報復

米 英 軍 の 空 爆 に 抗 議 す る イ エ メ ン の 親 イ ラ ン 武 装 組 織 フ ー シ 派 の 兵 士 = 1 日 、 サ ヌ ア ( E P A 時 事 )

米英の両軍が2月3日、共同作戦で、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点に3回目となる空爆を実施した。また、米軍は2日にシリアとイラクでイスラム教シーア派民兵組織の拠点を空爆した。米軍によるイランの代理武装勢力に対する攻撃が激しさを増し、中東情勢の緊迫感が一段と高まっている。(エルサレム・森田貴裕)

イランの代理武装勢力であるフーシ派は1月31日、紅海で米国の商船を攻撃したと発表した。米国や英国も標的と見なすと宣言している。一方、米軍は同日にイエメンのフーシ派支配地域にある発射準備中のドローン(無人機)10機を標的に空爆を実施した。

フーシ派は、昨年10月のイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの衝突後、ハマスを支持するとしてイスラエルに宣戦布告。11月以降、紅海でイスラエルに関係する船舶を標的に、ミサイルやドローン、ヘリコプターなどを使った攻撃を30回以上繰り返している。米国は12月に船舶を護衛するための有志連合を結成した。

フーシ派は今年1月9日、紅海を航行する米国の船舶に対して約20機のドローンと多数の対艦ミサイルを発射した。紅海に展開する米海軍の空母から発進した戦闘機やミサイル駆逐艦、英海軍の駆逐艦が対応し、これらを撃墜した。フーシ派は、「シオニスト国家(イスラエル)を支援する米国の船舶を標的に攻撃した」と述べ、犯行を認めた。

フーシ派による船舶への攻撃を受け、米英の両軍は11日、初回となる共同作戦を実施。イエメンにあるフーシ派の軍事拠点数十カ所を標的に空爆を行った。空爆に当たってはオーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダが支援した。オースティン米国防長官は声明で、民間商船への攻撃は違法だとして、「米国には自衛権があり、今後も必要であれば米国や国際的な船舶を守るために武力攻撃を行う」と表明した。シャップス英国防相も声明で、違法な攻撃は容認できないとして「罪のない人々の命と世界経済を守るために、必要な行動を取る」とフーシ派に警告した。

米英の両軍は22日、共同作戦2回目を実施。イエメンの首都サヌアの飛行場に近いフーシ派の軍事拠点や地下施設など8カ所を空爆した。

フーシ派は、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとハマスの停戦やイスラエル軍の撤収が実施されるまでイスラエルや米英の船舶への攻撃を続けると表明している。フーシ派による攻撃を回避するため、多くの船舶が地中海と紅海北部を結ぶスエズ運河経由の航路を変更し、アフリカ大陸南端の喜望峰回りの航路に迂回(うかい)することを余儀なくされ、物流の遅延や物流コストの増加など世界の経済にも影響が出始めている。

一方で米軍は2月2日、シリアとイラクでイランの代理武装勢力であるイスラム教シーア派民兵組織の拠点など85カ所以上を攻撃した。1月28日にヨルダン北東部のシリア国境近くに駐留する米軍がドローンによる攻撃を受け、米兵3人が死亡し、40人以上が負傷したことの報復だとしている。イスラエルとハマスの衝突以降、親イラン民兵組織による攻撃で米兵が死亡したのは、これが初めてだった。米国は、イラクの親イラン武装組織の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」だと指摘。米軍による報復攻撃を今後も続けるとの見通しを示した。イスラエルとハマスの交戦が始まった昨年10月以来、米軍は主にイラクとシリアで親イラン民兵組織による攻撃を165回以上受けている。

イスラエル紙イディオト・アハロノトの軍事ジャーナリストであるロン・ベンイシャイ氏は、今回の米軍の報復攻撃について、報復にしては規模が大き過ぎると指摘し、イランを標的とした戦略的なものと分析する。

米軍は、イランの精鋭部隊・革命防衛隊やシーア派民兵組織が使用する武器庫などを攻撃したが、これらはイランがイラクやシリア、レバノンの代理武装勢力へミサイルなど武器を輸送するため国境近くの陸路沿いに建設したものだという。

米国が、今後もイエメン、シリア、イラクのイラン代理勢力や革命防衛隊への攻撃を続ける可能性がある。

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