イスラエル、2カ月戦闘休止提案か 人質解放条件、ハマスに伝達 

軍の死者数1日で最多21人

22日、イスラエルの爆撃を受け、パレスチナ自治区 ガザ南部ハンユニスから上がる煙(AFP時事)

【エルサレム森田貴裕】米ニュースサイト「アクシオス」は22日、複数のイスラエル当局者の話として、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで交戦中のイスラム組織ハマスに対し、人質全員の解放を条件に最長2カ月間の戦闘休止を提案したと報じた。

報道によると、イスラエルの提案は、ガザ地区で拘束されている人質全員の段階的な解放や遺体の返還と引き換えに、イスラエルが収監しているパレスチナ人囚人を釈放するというもの。さらに、ガザ地区の主な人口密集地からのイスラエル軍撤収や、ガザ地区北部への住民の段階的な帰還も含まれる。この提案は、仲介役を担うカタールやエジプトを通じてハマス側に伝達されたという。

一方、ハマスに拘束されているイスラエル人の人質の家族など約20人が22日、エルサレムにあるイスラエル国会の財務委員会に突入し、政府に対し人質解放のため、さらなる措置を講じるよう要求した。ガザ地区には人質130人以上が今も拘束されている。

イスラエルのネタニヤフ首相は22日、人質家族との会談後に声明を出し、「ハマス側からの真剣な提案は何もない」とした上で、「詳しくは明かさないが、われわれには取り組みがある」と述べた。ネタニヤフ氏は21日、人質解放と引き換えに恒久的停戦などを求めたハマス側の要求を拒否すると表明していた。

イスラエル軍報道官は23日、ガザ地区南部での22日の戦闘で兵士21人が死亡したと発表した。1日の戦死者数としてはガザ地区での地上作戦開始以来最多となった。

軍報道官によると、戦車にロケット弾が撃ち込まれ兵士2人が死亡したほか、建物を破壊するために仕掛けた爆弾が爆発し、兵士が下敷きになった。爆発の原因など詳細は調査中という。ガザ地区での地上作戦開始以降、これまでに兵士219人が戦死した。

イスラエル軍は一方で、ハマス幹部が潜伏しているとみられるガザ地区南部の最大都市ハンユニスで作戦を拡大している。軍によると、過去24時間で地上部隊と空軍の連携による的を絞った攻撃で、ハマス戦闘員数十人を殺害したという。

ガザ保健省は23日の声明で、交戦が始まった昨年10月7日以降、ガザ地区での死者数は2万5490人に上っていると発表した。

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