ガザ地区の破壊計画と主張 南ア 軍事作戦停止求め提訴

「大量殺害」はハマス イスラエル反論

オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で11 日、イスラエルのガザ地区攻撃を巡る審理を開始す る判事ら(UPI)

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの軍事攻撃がジェノサイド(集団殺害)に当たるかを巡る審理が、国連の最高位の司法機関である国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)で11、12日に開かれた。提訴した南アフリカは、軍事作戦の即時停止を求めている。イスラエルはジェノサイドを否定した。(エルサレム・森田貴裕)

南アフリカは、イスラエルが「国家最高レベル」でガザ地区の破壊を計画し大量虐殺行為を行ったと主張し、1948年のジェノサイド条約に基づく義務に違反していると非難した。訴訟では、パレスチナ人の大量殺害、住宅の破壊、ガザ地区への食料や水、医療支援の封鎖、妊婦や未熟児の生存に不可欠な医療提供や病院機能の破壊など全て大量虐殺行為として挙げられている。南アフリカはICJに対し、パレスチナ人に対するさらなる深刻かつ回復不可能な被害を防ぐため、イスラエルに軍事作戦の即時停止を命じるよう求めた。

一方、イスラエル側は、南アフリカの主張は部分的で重大な欠陥があると指摘し、イスラム組織ハマスによってガザ地区の住宅街に仕掛けられた爆発物や地雷、ロケット弾の誤射などで民間人が死亡しており、ハマスは学校や病院を軍事目的で利用したと強調した。また、10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃で、約1200人が殺害され、240人以上が人質として連れ去られた。女性や少女は性暴力の対象となり、その後多くが殺害されたと説明。大量虐殺行為があったとすれば、それはイスラエルに対して行われたことになると主張した。

イスラエル側はまた、ガザ地区でハマス壊滅と人質奪還のための軍事作戦を行う傍らで、民間人保護のため、野戦病院の設置に始まり、戦闘地域から安全に移動するための人道回廊の設置、病院への保育器提供や食料供給などの支援を行ってきたと説明した。

スイスのジュネーブに拠点を置き国連の活動を監視する非政府組織(NGO)「UNウォッチ」は10日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員3000人が通信アプリ「テレグラム」内で、10月のハマスの襲撃を大々的に祝っていたと報告した。

UNウォッチの法律顧問ディナ・ロヴナー氏は、米国の中東ニュースサイト「メディアライン」で、UNRWA職員150人以上がSNS上で公然と反ユダヤ主義やジハードによるテロを扇動していると指摘した。

また、英国を拠点とするNPOで学校教育を監視する研究所(IMPACT―SE)の11月報告書によると、パレスチナの教科書は16年にパレスチナ自治政府によって改革が開始されたにもかかわらず反ユダヤ主義のままで、公然とジハード(聖戦)や殉教を奨励しているという。実際に10月の襲撃で殉教した者のうち100人以上がUNRWAの学校の卒業生だった。

イスラエルのライヒマン大学国際テロ対策研究所の主任研究員を務めるマイケル・バラク博士は、メディアラインで、子供たちの洗脳はハマスの核心的な戦術だと述べ、UNRWAやハマスが運営する学校の教育課程に加え、他にも多くの手法があると指摘する。

ハマスは子供たちが読む雑誌に殉教者を美化する物語を掲載し、パレスチナ解放のために自らの命を犠牲にすることの重要性を強調し、さらにサマースクールでは、ライフルの使い方や、イスラエル兵を殺害する訓練をしていると説明した。子供たちが頻繁に通う施設には、イスラエル攻撃用のロケットランチャーなど武器が保管されており、子供たちはハマスによって人間の盾としても利用されているという。

イスラエル軍によって捕らえられたハマス戦闘員は当局による尋問で、ハマスが民間人を人間の盾として学校や病院を隠れみのに使用していることを供述している。これは国際法の下では戦争犯罪だ。

イスラエルのネタニヤフ首相は13日、「誰もわれわれを止められない」と述べ、ICJでの審理の結果にかかわらず、ハマス壊滅に向けガザ地区での軍事作戦を続けると強調した。ICJが戦闘停止を命じても強制力はない。ただ、イスラエルに対する国際社会からの批判がさらに高まることが予想される。

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