イスラエル ガザで誤射、人質3人死亡 人質交渉へ向けカタールと協議

16日、テルアビブに集まり、声明を読み上げる 人質の家族ら(AFP時事)

【エルサレム森田貴裕】イスラエルのネタニヤフ首相は16日夜、テルアビブで記者会見し、パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍が誤って人質の男性3人を射殺したことについて、今回の悲劇は「国民の心を傷つけた」と述べた。

ネタニヤフ氏は「人質の奪還と勝利の達成には軍事的圧力が必要だ」と語り、イスラム組織ハマスの壊滅に向けた軍事作戦を強める方針を改めて強調した。

軍の初期段階の調査によると、ガザ地区北部シュジャイヤで建物内にいた兵士が、数十㍍離れた別の建物から出てきた3人を目撃。上半身裸で、棒に巻き付けた「白旗」のような物を掲げて抵抗する意図はないと明示していたが、ハマスがイスラエル軍を罠(わな)に誘い込もうとしていると勘違いし、兵士が身元の確認をせずに発砲したという。

ガラント国防相も記者会見で、誤射による人質の殺害は「私が経験した最も悲劇的な事案の一つだった」と述べた上で、「地上作戦がなければ、人質は一人も解放できなかっただろう」と強調。引き続きハマスへの攻撃を指揮し、人質の帰還に全力を尽くすと表明した。

イスラエル軍は、人質130人以上が今もガザ地区で拘束されているとみている。

米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は16日、関係者の話として、イスラエルの対外情報機関モサドの長官が、ハマスとの仲介役を務めるカタールのムハンマド首相兼外相と会談したと伝えた。イスラエルは、戦闘休止と人質交渉の再開に向けた取り組みを進めているとみられる。

イスラエル軍は16日もガザ地区のほぼ全域で空爆や地上作戦を継続。北部ガザ市や南部ハンユニスでの戦闘の様子の映像を公開した。

一方、イスラエル政府は15日、ガザ地区とイスラエルとの境界にあるケレム・シャローム検問所から人道支援物資の搬入を一時的に許可すると発表した。イスラエルは、ハマスとの交戦後、ガザ地区への物資搬入はエジプトとガザ地区との境界にあるラファ検問所に限定するとしていた。

ラファ検問所からは、1日当たりの人道支援物資の搬入量は最大トラック100台分が限度で、米国は搬入量を増やすようイスラエルに求めていた。

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