【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は14日、パレスチナ自治区ガザに残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指し、ガザ地区北部シュジャイヤとジャバリヤ、南部ハンユニスで攻撃を続けていると発表した。戦闘の映像も公開した。
イスラエル軍によると、ガザ地区北部では、同軍の地上部隊がハマス戦闘員が占拠している学校を襲撃し、多数の戦闘員を殺害。校内にあったハマスの軍事インフラを破壊した。南部ハンユニスでは、ハマスの拠点数カ所を襲撃し、地下トンネルにつながる立て坑や武器庫、ロケット弾発射場を発見し破壊したという。
イスラエルのネタニヤフ首相は13日、南部にあるハマス戦闘員らを尋問するイスラエル軍施設を訪れ、兵士らに「たとえ国際的な圧力に直面しても、ハマスを壊滅するまで戦い続ける。われわれを止めるものは何もない」と改めて強調した。コーヘン外相も同日、「現段階での停戦はハマスへの贈り物同然で、再びイスラエル住民を脅かすことを許すことになる」と指摘し、「国際的な支持の有無にかかわらず、ハマスとの戦争を継続する」と足並みを揃(そろ)えた。
ガザ地区での戦闘による民間人犠牲者の増加や人道的危機の悪化に国際社会の懸念が強まっている。国連総会は12日、緊急特別会合を開き、「人道目的の即時停戦」を求める決議を賛成多数で採択した。ハマス壊滅と人質の帰還というイスラエルの立場を全面支持してきたバイデン米大統領は12日、ネタニヤフ政権が「無差別爆撃によって国際社会で支持を失い始めている」と苦言を呈した。
一方、ハマスの最高幹部ハニヤ氏は13日、テレビ放映された演説で、「戦争を終結させるための交渉に応じる用意がある」と述べた。ただ、ガザ地区の今後の統治については、ハマスや他のパレスチナのテロ組織が関与しない計画は「妄想にすぎない」などと主張した。