イスラエル軍 ガザ250カ所以上に空爆 地下トンネルに海水注入

ガザ地区南部のラファで、早朝のイスラエルによる空爆の後、家の瓦礫を捜索する人々=2023年12月12日(UPI)

【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザに残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指すイスラエル軍は12日も、ガザ地区のほぼ全域で空爆や地上攻撃を続けた。

イスラエル軍は13日、過去1日でガザ地区にあるハマスの軍事インフラや戦闘員など250カ所以上を標的に空爆を実施したと発表した。軍は、空爆の映像や、建物内でハマス戦闘員と接近戦を行っている様子の映像も公開した。軍によると、ガザ市シュジャヤ地区では軍地上部隊がイスラエルへ向けてロケット弾を発射するハマス戦闘員を見つけ出し、空軍との連携で多数の戦闘員を殺害した。

イスラエルのネタニヤフ首相は12日、ビデオ声明で、ハマス壊滅後のガザ地区の統治に関して、「テロを教え、テロを支援し、テロに報酬を与える者らをガザ地区に入れることはできない」と語り、「ハマスや(パレスチナ自治政府アッバス議長率いる主流派)ファタハの土地にはならない」と強調した。

ネタニヤフ氏は、米国から「ハマス壊滅へ向けた地上侵攻や、即時停戦を求める国際的な圧力に屈しない姿勢にも全面的な支持を得た」と主張。一方で、米国との間で「ハマス壊滅後」を巡って見解の相違があることに言及し、「ここでも合意に達することを願う」と語った。ネタニヤフ氏は、パレスチナ暫定自治を認めた1993年のオスロ合意を引き合いに、「オスロの過ちを繰り返さない」と断言した。

イスラエル軍は12日、イスラエルからハマスによって連れ去られガザ地区で拘束されていた2人の遺体を収容したと発表した。軍は声明で「われわれの国家的任務は、行方不明の人質を見つけ出し、全員を連れ戻すことだ」と述べた。軍によると、人質135人が今もガザ地区で拘束されているという。

ガザ保健省は12日、交戦が始まった10月7日以降、ガザ地区で1万8412人が死亡したと発表した。イスラエル側は約1200人が犠牲になった。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は12日、米当局者の話として、イスラエル軍がガザ地区のハマスの地下トンネル網に海水の注入を開始したと伝えた。ハマス戦闘員らを隠れ家となっている地下トンネル網から地上に追い出す狙いだ。

イスラエル軍は、ハマスが地下トンネルを拠点にロケット弾などの武器を保管し、戦闘部隊の指揮を執っていると主張する。軍は、地下トンネルの破壊作戦の詳細についてコメントを拒否している。

WSJは今月初め、イスラエル軍がガザ市のシャティ難民キャンプ近くに地中海から水を汲み上げる大型ポンプ5台を設置したと報じていた。海水注入作戦はまだ初期段階で、完了までには今後数週間かかるとみられている。

spot_img
Google Translate »