ハマス壊滅へ攻撃続行 イスラエル軍 ガザ南部へ 人質帰還求め2万人デモ

18日、ガザ地区に連れ去られた人質の解放を求めて イスラエルで行われたデモ行進(UPI)

イスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃を受け、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの攻撃を開始してから40日以上が過ぎた。イスラエルは、ガザ地区南部への攻撃も強めるとして、ハマスの壊滅を目指す構えだ。(エルサレム・森田貴裕)

イスラエルのネタニヤフ首相は18日の記者会見で、「わが軍はハマスの司令官を含む数千人のテロリストを殺害し、指揮所や地下トンネルを破壊した」と説明。 「イスラエルは対ハマス戦争で米国などから支援を受けているが、停戦への国際的な強い圧力が高まっている」と語った。また、「国際社会に対して勝利まで戦い続けることを明確にする」と述べ、ハマスの壊滅と人質全員の帰還まで地上作戦を継続する意向を繰り返し表明した。

ガラント国防相は18日、記者会見で、「イスラエル軍は地上侵攻作戦の第2段階にあり、ガザ地区東部でハマスへの激しい攻撃を続けている」と説明。軍はハマスの上級指揮官の多くを殺害したとして、ガザ地区南部でも間もなく作戦を開始すると述べた。また、人質を帰還させるためさらに攻撃を強めると強調した。

イスラエルは18日、ガザ地区南部の都市ハンユニスの住民に対し、戦闘に巻き込まれないように自宅から離れ、人道援助を受けることができる西部に退避するよう繰り返し呼び掛けた。

イスラエル軍は、ガザ地区北部への空爆や地上作戦で、ハマスの軍事インフラの多くを破壊した。病院や遊園地の敷地内からは、地下トンネルが発見されている。

軍は、ハマスが病院や学校、幼稚園などに武器を隠し、女性や子供を乗せた救急車で戦闘員を移動させ、民間人を「人間の盾」にしていると主張する。

ハマスによってガザ地区に連れ去られた人質約240人の帰還を求める家族や友人を含む市民約2万人が18日、テルアビブからエルサレムへデモ行進を行った。デモ参加者は、首相府前で、政府に対し人質を即時帰還させる措置を取るよう要求した。

ハマスは、イスラエルの生存権を認めておらず、長年にわたってイスラエルに対し自爆テロなどを行ってきた。ハマスによるテロ攻撃で、これまでに数千人のイスラエル人が死亡した。ハマスは、イランから資金や武器、軍事訓練の支援を受けている。米英やイスラエルのほか、欧州連合(EU)などはハマスを「テロ組織」に指定している。

ハマスは2012年以来、カタールの首都ドーハに政治事務所を構えている。17年からカタールに亡命中のハマス最高指導者ハニヤ氏は、指導者のマルズーク氏やマシャル氏と共に資金を集め、遠い外国からガザ地区でのハマスの活動を指揮しているとされている。国際社会からのガザ市民への支援金は、ハマスの軍事資金となっている。

1967年の第3次中東戦争によってイスラエルがガザ地区を占領して以来、地区に住む人々は働くためにイスラエルに入国している。人口約220万人の8割は、食料支援がないと生活が成り立たない。イスラエル当局によれば、今年8月には、約5万8600人がイスラエルへの入国を許可されている。ただ、ハマスなど武装組織によるテロ攻撃が発生すれば、許可を失う。

今回の衝突の前、ガザ地区のイスラエルとの境界フェンス近くで、ハマスの扇動によりパレスチナ人住民らが反イスラエル・デモを行った。 これを受けてイスラエルはガザ地区の労働者の入国を禁止している。

米国は、衝突が終結した後、パレスチナ自治政府によるガザ地区の統治を求めているが、ネタニヤフ氏は、これを拒否している。ヨルダン川西岸地区でハマスなどテロ組織を自力で取り締まることのできない脆弱(ぜいじゃく)な自治政府にガザ地区の統治は期待できないからだ。

ヨルダン川西岸では10月7日以来、ハマスの取り締まりを強化するイスラエル軍とパレスチナ武装勢力とが衝突し、イスラエル軍の攻撃により、パレスチナ人200人以上が死亡している。

イスラエルがテロ組織ハマスとの停戦に合意すれば、これまで同様、双方がテロ攻撃と空爆を繰り返す報復の連鎖が続くことになる。

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