【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザに侵攻しイスラム組織ハマスとの交戦を続けるイスラエル軍は21日、ガザ地区北部のハマスの主要拠点であるジャバリヤ難民キャンプの包囲を完了したと表明した。ジャバリヤ近郊では、ここ数日、イスラエル軍とハマス戦闘員との間で激しい戦闘が続いていた。
イスラエル軍によると、同軍地上部隊がジャバリヤ近郊でロケットランチャーや地下トンネル3本を発見し、破壊したという。また、同空軍機が過去24時間でハマスの戦闘員やテロインフラを標的に約250カ所を空爆した。
ガザ地区北部の複数の病院周辺でも、イスラエル軍とハマス戦闘員の激しい戦いが続いた。
イスラエル軍は20日、同軍の攻撃でインドネシア病院の患者ら12人が死亡したことについて、病院敷地内からハマス戦闘員による攻撃を受け、応戦したことを明らかにした。病院に向けた砲撃は否定した。イスラエル軍はインドネシア病院の地下にもハマスのトンネルがあるとしている。
ガザ保健省は同日、ガザ地区北部のインドネシア病院から患者200人が退避したと発表した。患者らはバスで南部ハンユニスのナセル病院に搬送された。依然として患者400人が残っているという。
イスラエル軍報道官は20日、ハマスの武器製造施設や司令部などについて「学校やモスク(イスラム礼拝所)、人道施設の内部や近くにある」と強調。ハマスが住民らを人間の盾にしているとして非人道性を訴えた。
一方、バイデン米大統領は20日、ハマスに拉致されガザで捕らわれている人質について解放が近いとの認識を示した。ホワイトハウスで記者団に「人質交渉の合意は近づいているか」と問われると、「そう思う」と答えた。