【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は19日、パレスチナ自治区ガザ北部最大規模のシファ病院の敷地内で発見したとする地下トンネル内部の映像を公開した。軍は15日、イスラム組織ハマスが地下に司令部を置いているとして同病院に突入し、敷地内で捜索を行っていた。
公開されたトンネルは、深さ10㍍、長さ55㍍。爆破に耐えられる扉や銃撃用の穴など攻撃や侵入を防ぐ装備が施されており、イスラエル軍は「同軍がハマス司令部へ進入するのを防ぐためのものだ」と説明した。トンネルは、ブービートラップが仕掛けられたピックアップトラックのそばで発見された。軍は今後も病院の敷地内で捜索を続けるという。
イスラエル軍はまた、ハマスが先月7日にイスラエルから拉致し、シファ病院へ連行してきたネパール人とタイ人の人質が映っているとされる病院の監視カメラ映像も公開した。映像には、ハマスの襲撃により負傷したとみられる人質が担架で運ばれる様子や、ハマスのテロリストが病院内や人質の部屋の外にいる様子などが映されていた。
拉致されたイスラエル軍女性兵士の遺体がシファ病院近くの建物で見つかっており、軍報道官は「女性兵士は病院内で殺害された」と述べ、ハマスを非難した。
一方、ハマス保健当局は20日、ガザ地区北部のインドネシア病院を標的としたイスラエルの攻撃で12人が死亡したと発表した。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが同日放送した映像には、病院の外にイスラエル軍の戦車があり、ハマス戦闘員と戦っている様子が映されていた。
ハマスとの交戦を続けるイスラエル軍は、ガザ地区北部での地上作戦をさらに拡大。多数の住民が避難しているガザ南部でも攻撃を行っている。
ガザ保健省によると、ガザ地区での死者数はこれまでに1万3000人を超えた。