【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザに侵攻しイスラム組織ハマスとの交戦を続けるイスラエル軍は、ガザ地区北部での地上作戦をさらに拡大し、攻勢を強めている。
イスラエルのガラント国防相は18日、記者会見で、「ガザ地区南部に隠れているテロリストも、すぐに思い知ることになるだろう」と述べ、南部でも間もなく作戦を開始する方針を示した。先月7日のイスラエルへの奇襲攻撃に関与したハマス幹部らは、ガザ市からガザ地区南部へ逃れたとみられている。
ガラント氏は、「わが軍は地上作戦の次の段階にあり、ガザ地区東部でハマスへの攻撃を続けている」と説明。地上作戦で多数のハマス司令官を殺害し、地下トンネルや拠点を破壊するなどハマスへ大きな打撃を加えたとし、「日を追うごとに、テロリストが自由に動ける場所は少なくなっている」と強調した。
ガザ保健省は18日、北部ジャバリヤ難民キャンプでイスラエル軍による2回の空爆があり、80人以上が死亡したと発表した。報道によると、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校への空爆で、少なくとも50人が死亡。別の建物への空爆で、32人が死亡したという。
イスラエルは18日も、ガザ地区南部の都市ハンユニスの住民に対し、戦闘に巻き込まれないように自宅から離れ、人道援助を受けることができる西部に退避するよう繰り返し呼び掛けた。
ガザ保健当局によると、イスラエル軍による空爆などで、ガザ地区でこれまでに約1万2300人が死亡。イスラエル側は、約1200人が死亡した。
一方、報道によると、イスラエル軍が突入したガザ市最大規模のシファ病院から18日、患者や医療従事者、避難民ら数百人が退避。イスラエル軍は18日、シファ病院から要請があり、退避の支援を行ったと発表した。同軍はハマスが地下に司令部を置いているとして、シファ病院の敷地内で捜索を続けている。