【エルサレム森田貴裕】イスラエル軍は16日、突入したパレスチナ自治区ガザ北部最大規模のシファ病院の敷地内で、イスラム組織ハマスの地下トンネルや大量の武器を積んでいたとする車両を発見したと発表し、映像を公開した。
イスラエル軍はまた、シファ病院に隣接する建物内で、イスラエル南部のキブツ(集団農場)から連れ去られた65歳のイスラエル人女性の遺体を収容したことも明らかにした。建物内には武器や戦闘用機材が残されていたという。さらに、病院近くで人質となって殺害された19歳の女性兵士の遺体も収容した。
イスラエル軍によると、ガザ市のランティシ病院では別の地下トンネルが見つかり、アルクッズ病院でも大量の武器や弾薬が見つかったという。
ガラント国防相は16日、シファ病院で作戦を行っている部隊本部を訪れ、「われわれはガザ市の西部地域を制圧した。作戦は次の段階に進んでいる」と述べ、ハマス壊滅と人質救出に向けて攻撃をさらに強める意向を強調した。
イスラエルは、ハマスがシファ病院の地下に司令部を置いていると主張している。一方のハマスはこれを否定している。
イスラエルのネタニヤフ首相は16日、米テレビのニュース番組で、「シファ病院に人質が拘束されていることを示す強い兆候があった。これが病院へ軍部隊が突入した理由の一つだ」と説明。突入した時点で人質はもうそこにはいなかったとし、連れ出されたとの見方を示した。人質に関する情報はあるとしたが、言及は控えた。ネタニヤフ氏は、「イスラエルの目標は、人質約240人の返還とテロの再発防止だ」と強調した。
シファ病院には、650人以上の患者と500人の医療スタッフ、避難民数千人がいるとみられる。イスラエル軍は17日、人道支援として、シファ病院に飲料水4㌧以上と1500食分の調理済みの食事を提供した。