【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザに侵攻しイスラム組織ハマスとの交戦を続けるイスラエル軍は15日、ガザ北部最大規模のシファ病院に突入した。イスラエル軍は15日早朝、同軍地上部隊がガザ市内のシファ病院でハマスに対する「正確かつ標的を絞った作戦」を実施していると発表した。
軍によると、同病院内で作戦中、ハマスが使用した武器やテロインフラを発見。病院を隠れ蓑（みの）にハマスが民間人や患者を「人間の盾」にしていると主張した。病院の外では地上部隊とハマス戦闘員が激しい銃撃戦を展開し、戦闘員５人が死亡した。また、戦車部隊が、未熟児用の保育器や医療用品などを病院へ届けたという。
イスラエル軍は、地上部隊突入の12時間前に、ハマスに対し病院内でのいかなる軍事的行動も中止するよう通告。軍は、患者や避難民が退避できるよう特別に避難路を設置した。
イスラエルは、シファ病院の地下にハマスが司令部を置いていると主張。一方のハマスはこれを否定し、イスラエル側の「偽りの主張」を受け入れた米国に責任があると非難している。
また、イスラエル軍報道官は14日夜、ハマスの主要拠点であるガザ北部シャティ難民キャンプを制圧したと発表。地下トンネルやテロインフラなど多数のハマスの施設を発見し、司令官を含むハマス戦闘員１０００人以上を殺害。作戦中に拘束した戦闘員を尋問のためイスラエルへ連行したという。他にも、ハマスが実効支配するガザ地区の行政施設、兵器開発工場などを制圧した。
ハマスは13日、５日間の停戦を条件に、ガザで拘束している人質約２４０人のうち、女性と子供最大70人を解放する用意があることを表明。イスラエルが拘束しているパレスチナ人の囚人２７５人との交換を要求している。
イスラエルのネタニヤフ首相は、停戦についてはハマスとの合意を拒否し、人質全員が解放されない限り応じない姿勢を崩していない。ただ、人質の家族の多くは、ネタニヤフ政権の対応に怒りを表明し、首相の辞任を求める声が高まっている。
