イスラエル軍 戦闘一時停止を継続 ネタニヤフ首相 「軍がガザの治安管理」    

10日、パレスチナ自治区ガザ北部にあるシファ 病院に滞在する負傷者や避難民(AFP時事)

【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとの交戦を続けているイスラエル軍は12日、北部住民が安全に南部へ退避できるようにするため人道的戦闘一時停止を継続すると発表した。

イスラエル軍報道官は12日朝、ガザ地区の北部住民に対し「南部への避難路を午前9時から午後4時まで7時間開放する。また、午前10時から午後2時までの4時間は、ジャバリアとその近郊で戦闘を一時停止する」と述べた。ガザ地区の最大都市ガザ市にあるシファ病院から乳児らを避難させるための安全なルートも確保するという。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザ地区北部の住民約3万人が10日に避難路を通って南部へ退避した。

ハマスの本部があるとされるガザ市のシファ病院やその周辺地域ではここ数日、イスラエル軍とハマス戦闘員との間で激しい戦闘が続いている。イスラエル軍によると、ガザ市のシャティ難民キャンプでは、夜間の作戦で、同軍地上部隊が民間人を避難させている最中にハマス戦闘員が発砲。民間人の避難後、同軍がキャンプ内にあるハマスの武器庫や戦闘員を標的に砲撃や空爆を行い、ハマス戦闘員数人を殺害したという。

ガザ保健当局によると、ガザ地区でこれまでに1万1078人が死亡した。イスラエルは10日、ハマスの奇襲があった10月7日以降の死者数を、これまでの約1400人から約1200人に下方修正した。

イスラエルのネタニヤフ首相は11日、テレビ中継された記者会見で、ガザ地区での戦況について「戦争の勝利に向かって前進している。ハマスは実質的にガザ地区北部の支配力を失った」と主張。戦争の終結後について、「ガザ地区は非武装化され、テロ攻撃の脅威を確実に根絶するために、イスラエル軍が治安上の管理を続ける」と語った。停戦を求める国際的な声については、「われわれに対する国際的な圧力には譲歩しない」として、ハマス壊滅という目標達成まで軍事作戦を続ける考えを示した。

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