【エルサレム森田貴裕】イスラエルのネタニヤフ首相は30日夜、テルアビブで記者会見し、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦について「同意しない」と断言し、停戦を求める声は「ハマスやテロへの降伏であり、あり得ない」と強調した。
ネタニヤフ氏は7日のハマスの襲撃は「ホロコースト以来の最悪の蛮行だ」と非難。「イスラエルは勝利するまで野蛮な勢力に立ち向かう」として、国際社会にイスラエルを支援するよう呼び掛けた。また、ガザ地区への地上侵攻について「地上作戦は段階を踏み一歩ずつ確実に前進している」と述べた。
ハマスとイスラエル軍の交戦は31日も続き、イスラエル軍はガザ地区の境界付近で地上作戦の拡大を続けている。
イスラエル軍は31日、ガザ地区で過去24時間にハマスの軍事拠点約300カ所を標的に攻撃を行い、7日のイスラエルへの奇襲攻撃を指揮したハマス司令官を含む多数の戦闘員が死亡したと発表した。
同軍によると、対戦車誘導ミサイルやロケット弾の発射拠点、地下トンネルなどを空爆するなどした。またイスラエル軍は30日、地上部隊による作戦で、人質になっていた女性兵士1人を救出したと発表。救出作戦中は銃撃戦が続いたが、軍側に負傷者は出なかったという。
当局によると、救出された女性兵士の健康に問題はなく、家族とも再会した。軍報道官は、人質救出のための諜報活動や作戦を続けていると述べた。同軍によれば、少なくとも240人が人質としてガザ地区へ連れ去られた。
一方、ハマスは30日、イスラエルから連れ去り拘束した人質の女性3人の映像を公開した。1分余りの動画では、1人がハマスの襲撃を防げなかったなどとイスラエル政府を批判し、人質の解放と引き換えにパレスチナ人囚人の釈放を求める姿が映っている。
ネタニヤフ氏は「ハマスによる残酷な心理的プロパガンダだ」と非難し、人質救出に向け全力を尽くすと表明した。