【エルサレム森田貴裕】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍との大規模な交戦は9日も続き、双方の死者は計約1300人となった。
イスラエル南部では、領内に侵入したハマス戦闘員とイスラエル軍部隊の激しい戦闘が続いている。イスラエル軍は9日、8日夜から9日朝にかけてガザ地区のハマス軍事施設など計500カ所以上を標的に空爆を実施したと発表。ガザ地区からはハマスがイスラエルに向けてロケット弾を発射し続けており、事態が収まる気配はない。
イスラエルのメディアによると、ハマスや武装組織「イスラム聖戦」は8日、イスラエル軍将校ら130人以上を人質にしたと発表した。イスラエルでは少なくとも800人が死亡し、約2500人が負傷した。ガザ地区では493人が死亡し、約2700人が負傷した。
ガザ地区との境界付近で開かれていた野外音楽コンサート会場では、ハマス戦闘員の襲撃を受けた260人以上の若い男女の遺体が収容された。
イスラエル軍報道官は9日、イスラエル南部のガザ地区周辺地域で戦闘が続いていると述べた。一夜にして約70人の戦闘員がイスラエル領内へ侵入し、キブツの住宅に立てこもったという。キブツ近くでは侵入に使用したとみられる地下トンネルの入り口も発見された。
ハマスは大規模な奇襲攻撃を始めた7日、戦闘員らがガザ地区との境界フェンスを破壊し、オートバイやピックアップトラックで侵入、空からはパラグライダーで、海からはゴムボートで侵入した。現在も戦闘員がイスラエル領内への侵入を試みているとみられている。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは9日、イスラエル軍が空爆を行ったガザ地区で、12万人以上のパレスチナ人が住居を追われ避難したと、国連人道問題調整事務所(OCHA)の情報として伝えた。