イラン、スカーフ着用めぐり逮捕の女性死亡 抗議デモ止まず、死者185人か

「女性、命、自由」と気勢

女性の死亡に抗議するイランのデモ=9月22日、テヘラン(AFP時事)

イランでは、女性が頭部を覆うスカーフの着用をめぐり、22歳の女性が警察に拘束され死亡した事件に対する抗議デモが4週目に入った。多くの都市では大学などで抗議活動が行われ、女子学生がスローガンを唱え、デモ隊と治安部隊との衝突が続いている。(エルサレム・森田貴裕)

クルド系イラン人女性のマフサ・アミニさん(22歳)は9月13日、首都テヘランを訪問した際にスカーフを適切に着用していなかったとして警察に逮捕された後、昏睡(こんすい)状態に陥り、3日後の16日に死亡した。この事件をきっかけとした大規模な抗議デモが今もなお続いている。イスラム教シーア派を国教とするイランでは、厳格な服装規定があり女性は公共の場でスカーフを着用するよう義務付けられている。

ライシ大統領が今月8日、テヘランの女子大学、アルザフラー大学のキャンパスを訪れた際にも、抗議デモが続いていた。ツイッターに投稿された動画には、「ライシは出て行け」と叫ぶ女子学生らが映っていた。首都テヘランと多くの都市では、インターネット制限が課された。アミニさんの出身地である西部コルデスタン州では、女子学生・生徒らが「女性、命、自由」とスローガンを叫び、スカーフを振りながらデモ行進を行っていた。大規模な抗議行動が行われた後の9日、大学などすべての学校が閉鎖された。

イランの最高指導者ハメネイ師は3日、抗議デモについてテヘラン市内で演説し、「コーラン(イスラム教の聖典)を燃やし、モスク(イスラム礼拝所)や集会所などに火を放つなどの暴動は正常な反応ではなく、敵対する米国やイスラエルなどが画策したものだ」と主張。デモの鎮静化に向けて厳しい姿勢を取る治安当局の対応を支持した。イラン当局は、抗議活動を扇動しているとして、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、オランダを含む外国人9人を逮捕した。

イラン国営通信(IRNA)が報じたところによると、イランの法医学当局は7日、アミニさんの死因に関する調査結果を発表した。報告書は、アミニさんの死因は頭部や臓器、四肢への打撃によるものではなく、8歳の時に受けた脳腫瘍の手術との関連を指摘。脳の低酸素症による多臓器不全で死亡したと述べている。アミニさんの父親は、足にあざができていたと述べており、死に至ったのは警察の責任だとしている。

9月末には、テヘランで行われた女性の反スカーフデモに参加していた16歳の少女が、デモ後に行方不明となり、遺体で発見された。少女の母親は今月6日、娘が治安当局によって殺害されたと主張。治安当局から、娘の死について建物の屋上から飛び降り自殺したとコメントを出すよう脅されたことを明らかにした。少女の親族は、少女が当局によって建物の屋上から突き落とされたと主張した後、警察に逮捕されている。

イラン国営メディアは、少女の死亡について、政府関係者の主張を引用し、治安部隊との関係性は何もなく、少女は建物の屋上から落下したのであり、少女の体には銃弾による傷はなかったと伝えた。一方、活動家らは、デモ中に少女が殺害されたと述べている。

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は9月末、テヘラン近郊カラジで開かれたデモの集会中に、別の16歳の少女が治安部隊により「警棒で頭を激しく殴られた後に死亡した」と述べた。イラン司法当局はこれを否定。少女の死は5階建てビルの屋上からの飛び降り自殺によるものであることが司法当局の初期調査により判明した、と半国営のイラン学生通信(ISNA)が7日、報じた。検察官は、母親の説明で少女は自殺未遂の過去があったと指摘し、「法医学の報告によると、死因は衝撃による外傷性ショックだった」と述べた。

また、警察は9月24日に少女死亡の報告を受け、事件のあった地区で暴動は起きていなかったという。しかし、イランのタスニム通信は25日、少女が死亡した建物がある地区を含むカラジの幾つかの地区で、暴動のリーダーらが逮捕されたと報じている。従って、治安部隊により少女が死亡した可能性も否定できない。

オスロに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」(IHR)によると、これまでに少なくとも185人が死亡した。抗議者らは、イラン国内外でデモの実施を呼びかけている。収束のめどは立っておらず、さらに死傷者が増える可能性がある。

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