アフガンへの欧米の人道的介入を主張する「ミドル・イースト・アイ」

タリバン、米同時テロ20年で復活アピールか
女性の権利保護を訴えるアフガニスタンの女性たち=3日、カブール(EPA時事)

ISによるテロ続く

アフガニスタンでの混乱は収拾のめどが立たない。過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロが続き、経済的困難から多くの餓死者が出ることが懸念されている。迅速な経済支援、人道支援が急務だが、政権を掌握したイスラム主義勢力タリバンの支配強化につながりかねず、欧米諸国は無関心を決め込んだままだ。

カナダ人ジャーナリストで長年、中東を取材してきたタニヤ・グースジアン氏は昨年12月31日のニュースサイト「ミドル・イースト・アイ」への投稿で、「一年が終わり、アフガンで新たな不気味な現実が表れている。飢餓、経済の崩壊、法的手続きを経ない残忍な処刑で新年を迎える」と指摘、撤収後の国際社会の無関心、不介入が、アフガン情勢悪化に拍車を掛けていると警告した。

バイデン米大統領は9月、情勢の悪化はアフガン自身にあると主張し、介入への拒否の姿勢を明確にした。トランプ前政権によるタリバンとの直接交渉は2020年2月に和平合意に至った。しかし、懸念されていた通り、タリバン側は合意を順守せず、残ったのは米軍の撤収とタリバン政権の復活だけだ。「撤収ありき」で進められてきた交渉が招いた結果だ。

制裁によって凍結されている政府資産の解放を主張する声もあるものの、「人道問題はタリバンにとって優先事項ではない」(グースジアン氏)ことを考えれば、おいそれとは実行できない。

国内のテロ対策も急務で、グースジアン氏は「再びテロの温床、聖域となるのではないかという深刻な脅威は依然ある」と指摘する。アフガン暫定政権が今月3日、「軍特殊部隊内に自爆部隊を設ける」ことを表明した。ISによるテロへの対応を念頭に置いたものとみられるものの、01年のタリバン政権崩壊後、親米政権に対し繰り返されてきた自爆テロの復活だ。旧体質から思考は変わっておらず、これでは民主化など期待しようがない。

批判恐れ協力求めず

欧米からのテロ対策支援も、制裁下のタリバンには提供できない。グースジアン氏によると、米国のザルメイ・ハリルザド・アフガン和平担当特別代表が、タリバンは、米国に協力を求めれば、ISが「タリバンはアフガンを米国に売った」と主張し始めるのではないかと恐れていると指摘している。

昨年10月に米国防次官が、放置すれば、ISは半年以内に国際舞台での活動を開始すると警告、米国もアフガンのISの危険性は十分認識している。

アフガンの現状を見ると、カダフィ体制崩壊後のリビアを連想させる。リビアで民主化運動「アラブの春」によって旧体制が崩壊した後、リビアとその周辺地域に武器、テロが拡散した。欧米諸国の無関心が一因だ。

トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)のテロ対策の責任者を務めたクリストファー・コスタ氏は米政治紙ザ・ヒルで、「タリバンは今のところ、自制し、組織的なエスニッククレンジング(民族浄化)、政治的暴力を控えている」とした上で、「米国はまだ、リーダーシップを取り、アフガンの人々の苦難の緩和に取り組むことができる。…米国にはその責務がある」と主張している。

タリバンの本質不変

グースジアン氏は、19年8月の米紙ワシントン・ポストへの投稿で、タリバンの復権を予測していた。同様の予測をしていた専門家も多い。

タリバンは、ツイッター、フェイスブックなどを駆使し、もう1990年代のタリバンではないことを訴えてきた。現状を見る限り、これは、復権のためのプロパガンダだった。

グースジアン氏は、「タリバンは、だまされやすい国際社会への自身の売り込みを心得ている。これまでのタリバンとは違うが、それでもタリバンはタリバンだ」と主張、警戒を呼び掛けている。
(本田隆文)

spot_img
Google Translate »