トップ国際朝鮮半島ホルムズ派兵準備、韓米同盟の信頼回復の契機に【セゲイルボを読む】

ホルムズ派兵準備、韓米同盟の信頼回復の契機に【セゲイルボを読む】

 韓国政府がホルムズ海峡に補給艦などの海軍戦力を派兵する方向で方針を固めた。大統領府は4日、「朝鮮半島への備えに大きなダメージのない範囲内で身動きが取れる」とし、戦闘・非戦闘・捜索など多様な選択肢を検討しているとした。政府は早ければ今月中に国家安全保障会議(NSC)議決を経て、国会に派兵同意案を提出するものとみられる。出遅れの感があるものの望ましい方向だ。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて会談する韓国の李在明大統領(右)とトランプ米大統領=2025年10月、韓国の慶州(EPA時事)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて会談する韓国の李在明大統領(右)とトランプ米大統領=2025年10月、韓国の慶州(EPA時事)

 政府が派兵側に急旋回したのは、日に日に激しくなる米国の圧迫のためだ。ドナルド・トランプ米大統領はタンカー護衛連合を提案し、韓国と日本・フランス・イギリス・中国の5カ国に戦闘艦派遣を要求した。当時、韓国政府は距離を置いて、英仏なども戦争終了以後に安全管理する方向で足並みを揃(そろ)え、米国と摩擦を起こしてきた。

 そこへトランプ大統領は韓国をピンポイントで名指しし「『イランの非核化への努力に(韓国も)参加してほしい』と要請したのだが、彼らは断った」「このことは覚えておく」と露骨に不満を表した。今回も拒むようなことがあれば、韓米同盟が耐え切れないほどの破局的な危機に陥る恐れがある。

 ただでさえ韓米関係の至る所で亀裂が生じている。両国は首脳間合意にもかかわらず、対米投資と戦時作戦統制権の早期移管、原子力潜水艦の導入など、後続の通商・安保協議が空回りだ。挙げ句の果てに、トランプ氏は米朝首脳会談のために韓米連合軍事演習の縮小まで指示し、コリア・パッシングの懸念まで浮上している始末だ。

 ホルムズ派兵はこれまで溜(た)まっていた韓米摩擦を解消し、同盟の信頼を回復する良いカードになるのは間違いない。イラン戦争に派兵する初めての同盟国になるという象徴性も大きい。過去、盧武鉉政権も2004年のイラク派兵を韓米関係反転のきっかけにした例がある。同盟の信頼回復は通商交渉の突破口を開き、外交・安保の懸案を解決する上でも大きな助けとなるはずだ。米中間選挙も11月に迫っているだけに、できる限り派兵問題を迅速かつ前向きに決着させる必要がある。

 派兵は単に韓米同盟の次元だけにとどまらない。韓国は原油輸入の70%を中東に依存しており、大部分がホルムズ海峡を通過する。この海上輸送路が塞(ふさ)がれれば、直ちに韓国のエネルギー安保と経済が致命的な打撃を受けるほかない。米国だけでなく、英仏などの国際社会と足並みを揃(そろ)え、航行の自由を守ることは当然の責任であり、国益にも合致する。

 派兵が不可避だとしても、イランおよび中東諸国との外交的摩擦を最小限に抑えられるよう、軍戦力の性格や作戦範囲などは精緻に調整しなければならない。2020年にアデン湾に派遣された「清海部隊」の事例のように非戦闘・支援中心で構成し、作戦範囲も自国船舶の保護などに柔軟に設定すべきだろう。直接的な参戦は避けてこそ、国民的な合意が形成され得る。国会も、重大な国益が懸かっているだけに、超党派の協力で力と知恵を結集しなければならない。

(論説室の視点、9月5日付)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »