公式に提案、ノー非核化、平壌開催
【ソウル上田勇実】トランプ米大統領が意欲を示す金正恩総書記との首脳会談について、北朝鮮が米国による公式の開催申し入れや非核化を議題にしないこと、北朝鮮の首都・平壌での開催に応じることなど3つを前提条件として内部的に固めていることが分かった。米朝関係筋が7日、本紙に明らかにした。

同筋によると、北朝鮮はまず米国の国務次官級以上の高位当局者が海外の北朝鮮代表部や公館を訪れ、トランプ氏の米朝首脳会談要請の意思を口頭で伝え、トランプ氏の親書を手渡すことを求めているという。
また議題は2018年にシンガポールで開催された米朝首脳会談での合意に沿い、米朝の関係正常化に焦点を当て、非核化は議題にしないことを条件に掲げているという。
さらに北朝鮮は、トランプ氏が平壌での会談開催に応じる用意があることを明らかにするなら、会談に応じる可能性が極めて高いという。南北軍事境界線上にある板門店の開催も取り沙汰されているが、北朝鮮としては韓国の関与を避けたい思惑がありそうだ。
同筋によると、北朝鮮が考えるこれら3条件は今年に入って米国側に伝えられたが、在韓米国大使館筋によると、トランプ氏は国務省に会談に向けた指示を出しておらず、先月の米紙報道を契機にトランプ氏がSNS上で会談に意欲を示すレベルにとどまっている。メディアなどを通じたトランプ氏の世論誘導に対し、北朝鮮は「トランプ氏の本気度を測りかねている」(同筋)ようだ。
北朝鮮が3条件を掲げる背景には、ノー・ディールに終わった前回(19年)のハノイでの米朝首脳会談で正恩氏の威信が傷つけられた苦い経験やトランプ氏への不信感も関係しているとみられる。
一方、ハノイ会談では、北朝鮮が国際社会の制裁強化で生存できるか否かの瀬戸際に立たされ、正恩氏がトランプ氏との会談で突破口を開こうとした事情があったが、現在はロシアや中国の後ろ盾を得たことで、会談開催を望む切迫感は弱まっているとみられる。
ただ、会談でトランプ氏が対北制裁解除に応じれば、北朝鮮は国際的な金融決済システムへの復帰を果たすなど、より経済的恩恵にあずかることになる。
トランプ氏は米韓合同演習の開始直前に期間短縮を指示し、かねてから同演習を痛烈に非難してきた正恩氏の歓心を買おうとしたようだが、北朝鮮の慎重な姿勢に阻まれ、空回り気味だ。







