【ポイント解説】協議不十分は北の狙い
トランプ米大統領が米韓合同軍事演習を縮小させた。明らかに北へのシグナルだ。そもそも米韓合同演習は北朝鮮を狙った軍事示威行動であり、北朝鮮が最も嫌う。それを縮小して済ませた意図は十分に北に伝わっただろう。
これに韓国の李在明政権も「阿吽(あうん)」の呼吸で応じた。やるべきメニューを端折ってでも、北朝鮮を刺激したくないという姿勢がありありだ。
現在、韓国と米軍との間で戦時作戦統制権(戦作権)の韓国への移管が話し合われている。米軍はたとえ国連軍や連合軍の名を冠していても、米軍の指揮権は絶対に手放さない。平時の指揮権は韓国軍が持つが、有事では韓国軍も米軍司令官の指揮下に入る。北朝鮮が「韓国は独立国でなく属国だ」と非難するゆえんだ。
だから戦作権移管は韓国の悲願でもある。しかし、それによって米軍の関与や協力が手薄になっては朝鮮半島の安保は心もとなくなる。そのため移管後には「未来連合司令部」が構成される。韓国司令官が米軍資産を動かし、指揮を執る仕組みや調整が極めて重要になってくるわけだ。
今回の合同訓練では、それがうまくいくかどうかの評価が同時に行われたはずだった。しかし訓練は縮小、取りやめになった。到底「評価を終えた」という状態ではなさそうだ。
北朝鮮の戦略目標はずっと前から「在韓米軍の撤退」である。〝丸裸〟になった韓国を核戦力も備えた北朝鮮が屠(ほふ)っていく。それを防ぐのが韓国防衛の要諦だ。戦作権移管後の米韓軍事協力体制がどうなるか、それを米韓に協議させず、不十分に終わらせるのも北の狙いなのだろう。
(岩崎 哲)







