【ポイント解説】消えた茶房、増えたカフェ
日本では喫茶店が消えて、カフェに置き換わって久しい。重厚な調度品、上質な椅子とテーブル、丁寧にドリップされたコーヒー、リクエスト曲が数時間待ちでかかるクラシック喫茶…、もはや絶滅危惧種だ。
韓国の喫茶店は昔「茶房(タバン)」と言った。なぜか「茶房アガシ(女性)」がいて、ホステスのように寄り添ったが、酒席のようなサービスではない。出てくるコーヒーもインスタントだった。20、30年前ならまだソウル鍾路辺りで生き延びていただろうが、今はこのスタイルの茶房は、やはり絶滅した。
代わって街角を埋めたのがカフェだ。韓国人のカフェ好きは日本人の比ではない。「さっと来て、さっと飲んで、さっと出ていく」昔ながらのタイプと、Wi-Fi(ワイファイ)難民が居座ってノートパソコンなどを開けている姿が混在する。どちらも「味を求めている」とは思えない。
それなら人工知能(AI)がコーヒーを淹(い)れても構わないだろう。デジタル化のスピードが日本の何倍もの速さで進んでいる韓国では、おそらくAI無人カフェが広がり、低価格カフェを駆逐する日も近いと予想できる。
味に関してもAIは人の手を凌駕(りょうが)する日が来るかもしれない。そうなると何で太刀打ちできるのか。バリスタの「味」か。だがそれもAIがマスターしてしまうだろう。
店の雰囲気、店主の人柄、茶房アガシのサービス、いずれも、ほとんどがもはや消え去って、復刻を望む世代もいない。
AIで代替できるなら、残念ながら茶房はもはや過去の遺物だ。
(岩崎 哲)







