【世界日報サポーターズクラブ講演要旨】
浮かぶ「反日反米」の本質
世界日報の特別会員サービス「世界日報サポーターズクラブ」の第1回講演会が7月25日にオンラインで開催され、本紙の上田勇実編集委員が「韓国民主主義の危機―李在明大統領を〝大解剖〟」と題して韓国の政治状況を解説した。以下は講演要旨。

韓国の李在明政権発足から1年が過ぎた。日韓首脳による「シャトル外交」が復活し、戦後最悪とも言われた日韓関係が改善したと考えている人も多い。
しかし、この1年で政権の本質が見え始めた。外交では「親北親中・反日反米」、内政では露骨な「粛清と革命」を推進している。
李氏を巡っては、公職選挙法違反、対北朝鮮不正送金事件など、五つの刑事裁判が中断状態にある。これだけの疑惑を抱える人物が、なぜ大統領にまで上り詰めたのか。
貧困家庭で育ち人生に絶望していた李氏にとって転機となったのが、民主化運動が武力で鎮圧された1980年の光州事件だった。李氏は「虐げられている人々が声を上げることができる」とこの事件に衝撃を受けたという。
現在、与党「共に民主党」は光州事件の理念を憲法前文に明記しようとしている。しかし、事件には全面的に民衆の側に正義があったと言い切れないとの指摘もある。保守派は自分たちが「反憲法勢力」と見なされかねないとして警戒している。

韓国では、李氏の最大の関心事は「退任後に逮捕されないこと」だと指摘されている。
与党は総選挙と大統領選に勝利し、立法府と行政府を握った今、次は司法だと考えている。
その象徴が「権力には序列がある」という発言だ。李氏は「国民の意思」が最上位にあり、その下に大統領と国会、さらにその下に司法があるとの考えを示した。
与党は「司法改革三法」を推進している。裁判官らを処罰対象とする「法歪曲(わいきょく)罪」、事実上の四審制につながる「裁判訴願制度」、最高裁判事の大幅増員が柱だ。これには司法への政治介入や司法の独立性を損なう恐れがある。
さらに、尹錫悦政権時代の捜査や起訴を取り消す動きもあり、韓国の法律専門家からは「三権分立を無視する危険な発想だ」との声も上がっている。
こうした動きを止められない理由の一つが、尹前大統領による2024年12月の非常戒厳令だ。これが韓国社会に大きな衝撃を与え、保守陣営への不信を広げた。また、メディアには政権の顔色を窺(うかが)う空気もある。
外交では李政権は「実用外交」を掲げるが、政権内部には親米・国益重視の勢力と、対北融和を重視する極左勢力が併存している。
米国は李政権への警戒感を示している。昨年6月、トランプ大統領はSNSで「韓国で粛清と革命が起きている」と投稿した。背景には、情報機関などから伝えられた韓国情勢への認識があるとみられる。「粛清」は尹錫悦前大統領や保守勢力への追及、「革命」は社会制度を変革する動きを指した可能性がある。
日韓関係では、今年1月の首脳会談後、高市早苗首相が「日米韓」と述べたのに対し、李氏は「韓中日」という表現を用いた。6月には日本との安全保障協力を巡り、「拳骨(げんこつ)でなぐられた過去の記憶があるのに、本当に協力できるか」と歴史〝訓戒〟を述べた。
こうした中、韓国の保守派に希望はあるのか。
6月の統一地方選では与党圧勝が予想されたが、保守派は善戦し、ソウル市長選で勝利し、補欠選挙でも次期大統領候補と目される人物が当選した。
一方で、保守陣営はいまだ分裂状態にあり、保守復活への道のりはなお険しい。
重要なのは、日韓関係の改善だけで韓国情勢を判断しないことだ。安全保障協力や民主主義、法治主義の観点も含めて、何が起きているのか冷静に見極める必要がある。
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今回、上田勇実編集委員が韓国政治について解説したオンライン講演会も、会員限定で視聴できる特別プログラムの一つです。今後も世界日報の記者が、時事問題の分かりやすい解説や取材現場の舞台裏などを紹介するオンライン講演会を随時開催してまいります。
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