【ポイント解説】不正でなく“ずさん”さ
「K民主主義(韓国型民主主義)」を誇る韓国政治で起こった選挙の不祥事は、政治的陰謀や外国の工作で選挙結果が操作されたというわけでなく、単純な「実務者のミス」とそれを隠蔽(いんぺい)しようとする「小細工」が正体だった。
投票用紙が足りなかった投票所が、よりによって左派与党のライバルで次期大統領選にも出て来そうな保守政治家、現職の呉世勲(オセフン)ソウル市長の選挙区だったことから、保守派はこれが偶然でなく市長を落とそうとする「不正選挙」だと反発し、再選挙を要求するデモを50日以上続けているという。
過去に投票用紙が大量に余ることがあったため、投票率を予測して用紙枚数をはじき出したはずが、予測を上回って不足事態が生じた。お粗末この上ない。さらに「実務者が投票者数を誤って入力した事実をごまかし、後で辻褄(つじつま)合わせをしようとした」ことも報じられているというから呆(あき)れる。
投票は民主主義の根幹である。1票1票を厳密に分けて数を積み上げる。日本では姓や名前のいずれかが同じか似通った候補者で判別が難しい場合の「あん分」も厳密に分けられている。これは単に無効票とせず、誰に入れようとしたのか、投票者の意思を尊重するためだ。ところが、韓国の選挙では投票すらできなかったわけだから、有権者は怒って当然だろう。
民主主義を進めることはできても、最も単純な投票を正しく行うという事務レベルで不良が生じては、精神が空回りするだけである。事務処理がずさんなのは民主主義精神の成熟度とかの問題ではなく、単に仕事を正確、誠実にできるかどうか、というレベルの問題だ。
(岩崎 哲)






