トップ国際朝鮮半島若者は「警戒」、政府は“片思い” 韓国の対北認識

若者は「警戒」、政府は“片思い” 韓国の対北認識

 韓国の20代、30代の若者は、約3人に2人が北朝鮮を「警戒すべき相手」、約半数が「敵対すべき相手」と認識していることが政府機関の調査で分かった。だが、李在明政権で対北政策を主導する鄭東泳統一相は、北朝鮮側が韓国を「敵国」と規定したにもかかわらず、過度な融和路線に固執し、市民団体などから批判が上がっている。(ソウル上田勇実、写真も)

韓国北西部の「烏頭山統一展望台」(京畿道坡州市)からうっすらと見える北朝鮮を望遠鏡でのぞく韓国人観光客=2024年8月撮影
韓国北西部の「烏頭山統一展望台」(京畿道坡州市)からうっすらと見える北朝鮮を望遠鏡でのぞく韓国人観光客=2024年8月撮影

 調査は今年5月末から6月初めにかけ、大統領直属の平和統一政策諮問機関である民主平和統一諮問会議が民間の世論調査会社に依頼して実施されたもの。全国の満19歳から39歳までの1200人を対象に行われた。

 それによると、「北朝鮮は私たちにとってどのような相手か」の問いに「警戒すべき相手」と答えた人は65.6%に達し、「警戒すべき相手ではない」の10・4%を大きく上回った。「敵対すべき相手」と答えた人も49.8%で、「敵対すべき相手ではない」(17.8%)を上回った。

 また北朝鮮を「協力・支援の対象」と答えた人は約4人に1人にとどまり、「協力・支援の対象ではない」(4割以上)を大幅に下回った。

 全体的に韓国の若者たちは、北朝鮮への警戒心が高いことがうかがえる。

北「主敵」に慎重姿勢

 一方、李政権は北朝鮮への融和路線を維持している。特に鄭統一相は近年、現場の学校教育で「私たちの願いは統一」という歌が歌われていないのを問題視するなど、若者の「対北融和」離れにつながりかねないとして懸念している。

 また国防省が今年発刊予定の「国防白書」に北朝鮮を従来通り「主敵」と表現していることについて、鄭氏は「国家安全保障会議(NSC)で議論すべきだ」と述べるなど、北朝鮮を刺激しまいと躍起だ。

 すでに金正恩総書記は、韓国との関係を「敵対的2国家論」と定め、今年3月に改正された憲法にも初めて領土条項を新設、「統一・民族」という表現を全面削除することで、祖国統一路線の放棄は憲法上も確定された状態だ。それにもかかわらず融和を掲げる李政権の姿勢はもはや“片思い”と言える。

【関連記事】「敵対的2国家論」の意味 核保有国会談を夢見る北朝鮮

 世論調査で浮き彫りになった南北統一を巡る若者たちの認識も李政権とはズレがある。

 今後の南北関係の望ましい方向に関する問いに対し、最も多かったのは「統一を長期的に目指すが、当分の間は南北間の平和共存・別個の国家として進むべき」で、過半数に達した。「統一を目標にするより、南北を別個の国家として定めるべき」(19.4%)を大幅に上回っている。ここで言う「統一」とは、当然のことながら自由民主主義体制による統合を指している。

 これに対し李政権は、北朝鮮の「敵対的2国家論」を容認し始めた。李政権下で初めて発刊された「統一白書」には、南北関係を「統一を志向する平和的2国家関係」と規定し、韓国と北朝鮮を事実上の2国家と見なす立場を初めて公式に明らかにした。歴代左派政権の特性上、李政権が言う「統一」は必ずしも北朝鮮の民主化を指すものではないとの見方が少なくない。

 これについて市民団体「ワンコリア汎国民連帯」は、「統一省が金正恩の敵対的2国家論に平和的という形容詞をかぶせて応じたのは、世論をごまかすための言葉遊びにすぎず、結局は永久分断の制度化に尽力する道だ」と厳しく批判した。

気になる統一負担

 今回の世論調査では、「もっと知りたい北朝鮮・統一関連情報」について、「統一による経済的影響」(複数回答で34.8%)が最も多かった。若者たちが、東西ドイツ統合のように朝鮮半島統一が突然訪れるという漠然とした思いも抱いているようだ。統一による差し迫る問題として、未来を背負う若者が経済的負担を気にするのはうなずける。

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